■ Q. 「スポーツドリンクで水分補給するのは危険」って本当?
「少し肥満気味で、糖尿病予備軍です。昔から、汗をかいた後はスポーツドリンクを飲むのが一番だと思っていたのですが、友人から糖尿病ならやめた方がいいと注意されました。
スポーツドリンクは熱中症対策にもいいと思うのですが、飲まないほうがいいのでしょうか?」

■A. 糖質が多く血糖値を急上昇させる危険も。正しい水分・塩分補給のポイントを押さえましょう
「汗をかいたらスポーツドリンク」というイメージは広く浸透していますが、飲み過ぎには注意が必要です。健康な人も飲み過ぎはよくありませんが、特に糖尿病のある方にとっては思わぬ深刻なリスクにつながることがあります。

一般的なスポーツドリンクの場合、500mlのペットボトル1本に含まれる糖質の量は約25~30gです。これはご飯茶碗半分ほどに相当します。「水分補給のつもり」でゴクゴクと飲んでしまいがちなため、糖質の過剰摂取につながります。

スポーツドリンクは熱中症予防にもよく使われるのはたしかですが、すでに糖尿病がある場合、高血糖になることで逆に脱水が起き、熱中症が悪化するという負のスパイラルに陥るおそれもあるのです。「熱中症対策=スポーツドリンク」と安易に考えるのは、危険なことと言えます。

では「経口補水液(OS-1)」なら安心かというと、ここにも見落としがちな落とし穴があります。経口補水液はもともと、すでに脱水症状が出た方の「治療用」として作られた飲料です。ナトリウム(塩分)や糖分の濃度が高く、スポーツドリンク以上に血糖値を上げるリスクがあります。予防目的で日常的に飲むことは、逆効果になりかねません。


糖尿病のある方の熱中症対策として、以下の3つのポイントを心掛けてください。

▼水分補給の基本は「水」か「糖分ゼロのお茶」にする麦茶・そば茶・ルイボスティーなどのカフェインを含んでいないもの、または少ないものが適しています。のどが渇く前に、常温~やや冷たい温度のものを少しずつこまめに飲むのがコツです。

▼汗をかいた時は「塩分補給」も忘れずに行う水だけを飲み続けると体内の塩分が不足し、低ナトリウム血症という危険な状態になることもあります。甘い塩飴ではなく、糖分ゼロや低糖タイプの塩タブレット、塩昆布・みそ汁などで補いましょう。

▼室温と体調を「こまめにチェック」する糖尿病のある方はのどの渇きや発汗の変化に気付きにくい傾向があります。エアコンは28℃前後・湿度60%以下を目安に設定し、少しでも体調がおかしいと感じたら無理せず休みましょう。

糖尿病がある場合、「のどが渇いた」と感じた時点で、すでに軽い脱水状態になっていると考えてください。1時間に1回、コップ半分程度をこまめに飲む習慣を心掛けることが大切です。室内や夜間も油断せず、水分補給を生活のリズムに組み込みましょう。血糖コントロールと熱中症対策、その両立の合言葉は「こまめに、バランスよく」です。

▼荒牧 昌信プロフィール日本内科学会総合内科専門医。
「やさしい言葉とわかりやすい説明」をモットーに、クリニック院長として外来診療に従事。糖尿病・生活習慣病に関するセミナー・講演会も多数。ひとりでも多くの人が健康的な生活を送れるよう、役立つ医療情報を発信中。
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