1つの芸能事務所から今クールの民放GP(ゴールデン・プライム)帯の連続ドラマに5人も主演している――そう聞くと、なかなかすごいことが起こっていると思わないでしょうか。

 旧ジャニーズ事務所のタレントの移籍先であるSTARTO ENTERTAINMENT。
そんなSTARTO社のアイドルたちが7月期の連ドラ5作品に主演しています。

●「Kis-My-Ft2」玉森裕太/『マイ・フィクション』(テレビ朝日系)
●「Hey! Say! JUMP」山田涼介/『一次元の挿し木』(日本テレビ系)
●「timelesz」寺西拓人/『ラストノート』(フジテレビ系) ※内田有紀とダブル主演
●「SixTONES」松村北斗/『告白−25年目の秘密−』(日本テレビ系)
●元「嵐」相葉雅紀/『大追跡~警視庁SSBC強行犯係~ Season2』(テレビ朝日系) ※大森南朋・松下奈緒とトリプル主演

 近年、深夜帯のドラマ枠は多くなっていますが、GP帯のドラマ枠は民放各局で数枠ずつと限られています。そのうちの5枠をSTARTO社が占拠しているというわけです。

問題以前と同等かそれ以上になっている

「ジャニーズ改名」から3年…今期連ドラで“主演5人”の大逆転...の画像はこちら >>
 一大帝国として日本の芸能界に君臨し続けていたジャニーズ事務所がなくなり、実質的な後継事務所であるSTARTO社が誕生した経緯はみなさんご存知でしょう。

 2023年、故・ジャニー喜多川氏の性加害問題が大々的に報じられ、ジャニーズ事務所は報道を認めて謝罪。そのため一時期、各局がジャニーズタレントの起用を控えるようになり、当時はこのまま帝国が崩壊していくのではないかとの見方もありました。

 けれど、それから約3年が経過し、今クールのGP帯・連ドラ枠では5作品もSTARTO社アイドルが主演しています。

 旧ジャニーズ時代からジャニーズタレントがGP帯・連ドラに主演することは多かったものの、それでも2、3作品程度というクールが多かったのです。もちろん主演本数が2、3作品よりも少ないクールもあれば多いクールもありましたが、5作品という今クールの状況を考えると、性加害問題以前と同等かそれ以上になっていると考えられます。

 創業社長が引き起こした大事件という致命傷になりかねない問題がありながら、なぜテレビ各局は再びSTARTO社アイドルたちを重用するようになったのでしょうか?

彼らのファンが“推す力”はコケないための保険

 シンプルかつ最大の理由は“STARTO社アイドルたちが多くのファンを抱えているから”。これに尽きるでしょう。

 どんなにおもしろいストーリーのドラマでも、視聴してもらえなくては高評価が得られません。中身は良作でも視聴率やTVer再生回数といった数字が伴わずに、失敗作の烙印を押されてしまった作品はごまんとあります。

 そのためドラマ製作側としては第1話放送開始前にそのドラマを知ってもらうこと、興味を持ってもらうことが重要になってきます。
そして高い人気と知名度を誇るSTARTO社アイドルたちが主演すると、ネットニュースといった他メディアもこぞって取り上げてくれるため、その導線が作りやすいのです。

 STARTO社アイドルにはがっつりと固定ファンが付いており、彼らを主演に抜擢することで、ある程度の視聴者数を獲得できることも“計算”できます。“良作を作ってもコケてしまうケース”を回避するために、彼らのファンが“推す力”はドラマにとって保険になるということです。

STARTO社が重用されるワケとは?

「ジャニーズ改名」から3年…今期連ドラで“主演5人”の大逆転。忖度なしの時代に「STARTO社起用」が続く納得の理由
画像:『一次元の挿し木』読売テレビ公式サイトより
 ただ、これは性加害問題以前から変わらぬ理由。

 性加害問題の影響をどうして乗り越えられたかと考えた場合、STARTO社アイドルを出演させようとしても、ドラマのスポンサーからクレームなどがほとんどなかったからだろうということが推察できます。

 言わずもがな民放のテレビ局は主にCMによる広告収入で番組製作をしているため、スポンサーが悪印象を抱くタレントを起用することは難しい構造になっています。そのため性加害問題からしばらくは様子見をする時期が続いていたわけですが、STARTO社に移籍したことで“ジャニーズ色”が薄まり、STARTO社アイドルを出演させることにスポンサーが難色を示さなくなったという事情も大きいのでしょう。

 またジャニーズ事務所時代は、テレビ局側が競合・類似する他事務所の男性アイドルと共演させないように忖度するといったことが行われていました。ジャニーズ事務所側も所属アイドルのブランディングのために、ドラマの設定や物語にいろいろと注文を付けていたという話もありました。

 しかし、STARTO社になってからはそういった過度な忖度が必要なくなり注文も少なくなったことで、STARTO社アイドルを以前よりも一層キャスティングしやすいといった事情もあるのかもしれません。

 ――いずれにしても、旧ジャニーズの流れを汲んだSTARTO社のアイドルたちが、日本のドラマ業界になくてはならない存在であることは、今クールの“主演作5本”という事実が物語っているのではないでしょうか。

<文/堺屋大地>

【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。
『日刊SPA!』(扶桑社)で恋愛コラム連載、『SmartFLASH』(光文社)でドラマコラム連載、『コクハク』(日刊現代)で芸能コラム連載。そのほか『文春オンライン』(文藝春秋)、『現代ビジネス』(講談社)、『集英社オンライン』(集英社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)などにコラム寄稿。LINE公式のチャット相談サービスにて、計1万件以上の恋愛相談を受けている。公式SNS(X)は @SakaiyaDaichi
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