仲良しの恐竜ママから「かぞくに新しいたまごがうまれました!ぜひ見に来てください」という手紙を受け取ったゾロリとイシシ&ノシシは「おっとっ島(とう)」を訪れるが、その夜に巨大台風に襲われてしまう。
第一弾の『だ・だ・だ・だいぼうけん!』からさらにパワーアップした“ハッラハラドッキドキ”の新たな大冒険。ゾロリたちは一体どんな活躍を見せてくれるのだろうか?
お調子者でいたずらの天才、でも本当は人情溢れる憎めないヤツ、そんな主人公ゾロリを演じ続けてきた山寺宏一さんに本作について、そしてゾロリの魅力について伺った。
[インタビュー取材・構成:川俣綾加]
― アニメ!アニメ!(以下、AA)
今回の冒険は何がテーマなんでしょうか。
― 山寺宏一さん(以下、山寺)
大切なたまごを守りながらどんな冒険をしていくのか、ちゃんと恐竜ママのもとに帰せるのかが物語の要ですが、今回も相変わらずのゾロリの世界。「俺様は必ず約束を守る!」というテーマをどう体現していくのかを観て欲しいですね。
もう一つは、映画オリジナルキャラクター「ディナ」も登場していて、すでに原作を読んだ人もまだの人も、二度楽しめるおいしい作品になっています。もう、スピード感もアップしていて絶対面白いですよ! 僕、自信たっぷりです!
― AA
“親子愛”も描かれていて、ハラハラドキドキとはまた違った魅力も見逃せないですね。
― 山寺
そこも今回の魅力の一つで、やっぱり親は子供を命がけで愛しているんです。この作品の中で誰よりもそれを理解しているのがゾロリ。
ゾロリは子供の頃お母さんを亡くしていますから。親子や家族の絆が強く描かれていて、感動するだけじゃなく楽しみながらそれを感じ取れるのもゾロリシリーズの魅力です。
― AA
主題歌についても教えてください。
― 山寺
なんと今回は、僕が主題歌を歌っています。原作者の原ゆたか先生が作詞してくださった「いいかげん」という主題歌です。
ゾロリシリーズで歌は何度も歌わせて頂いていますが、どの曲も素敵なメッセージソングになっています。で、今回はというと、「いいかげん」!
― AA
すごいタイトルですね!(笑)
― 山寺
どの曲も楽しく愉快に、でも心を打つメッセージがあるんです。今回はどうなるんだろう? と楽しみにしていたら「こうきたか!」とびっくりしました。
さすが原先生、さすがゾロリ。主題歌については僕からどんなメッセージがあるというより、聴いた人それぞれに色々な受取り方をして頂きたいですね。
― AA
印象に残っているシーンは?
― 山寺
おならです。言っちゃうと、イシシとノシシはやっぱりおならを出しますよ、今回も! フィーチャーしていますよ?オナラ! 劇場の入場者プレゼントで「イシシとノシシの<<おならマシーン>>」がもらえるくらいですから。
― AA
アフレコ現場はどんな雰囲気でしたか?
― 山寺
ゾロリ作品のレギュラー声優陣に、紅白にも出てアーティストとしても素晴らしいディナ役の水樹菜々ちゃん、僕が声優の神様として尊敬してる恐竜ママ役の野沢雅子さんが加わって明るい現場でした。イシシ役の愛河里花子さんとノシシ役のくまいもとこさんがまたすごく面白くて、盛り上げてくれましたね。
アフレコはまる1日かけて行ったんですが、野沢雅子さんの待ち時間も長いのにすごくあたたかく見守ってくださって、本物のお母さんに見守られているようでした。
― AA
ゾロリと山寺さんの明るいイメージがすごく重なる部分があるんですが、ご自身ではどう思われますか。
― 山寺
そうですか?(笑) ゾロリは長い間演じさせて頂いているので、どのセリフも僕の中に腑に落ちるものがあるんです。ゾロリのしたたかな部分もお調子者な部分も全て。
そういう意味では演じているからかもしれませんが、プライベートな僕とは違う部分が大きいです、くよくよしてしまうタイプなので(笑) でも一晩悩んで眠れないなんてことは無くて、どんなに悩んでいる時も布団に入って30分もすれば眠れます。これが他の人から言わせれば短いみたいです。
とはいえ、悩んでることって振り返ってみればたいしたことじゃ無かったりしますよね。ゾロリはそれがよくわかっているし、ピンチこそチャンスに変えて前へ前へと進む。「気にするな、長い人生 回り道することもあるさ。それが何だ!」というゾロリのセリフはすごく心の中に残っています。
ゾロリのことが大好きなので、キャラクターの同一化みたいなことが本当にできたらいいなと思います。
― AA
ゾロリはくるくると表情が変わるキャラクターですが、演じていてどうですか?
― 山寺
見ていて飽きないのもゾロリの魅力です。物語は展開が早いですし、ころころ表情が変わるシーンは難しいと感じる時もあるんですが、誰でもそういうことってやっているんですよ。でも、気づいていないだけでみんな色々な声を出しているんです。
例えば電話に出る時だって、急に声のトーンが上がったり、レストランでお客さんには「はい、ありがとうございまぁあ?す!」なんてニコニコ明るい声でも厨房では「おまえら!」と低い声で怒鳴っていたり。3オクターブくらい違ってびっくりしたこともありますよ! そういうのを、あたかも本当にそうかのように演じ分けるのが、僕ら声優の仕事です。
あなたも、好きな俳優を目の前にしたらきっとガラッと変わっちゃいますよ! きっと今と全然違います!
― AA
ええっ!!(笑) 確かに、思えばシーンによって違う声を出しているかもしれません。
― 山寺
そういう意味では、ゾロリはわかりやすいものです。長時間のアフレコでも、「わー!面白い!」と言ってもらえるよう頑張っています。
ゾロリはテンションが高いシーンが多くてほとんど絶叫していたり、一緒にいるイシシもノシシも元気すぎるし…、でも「山ちゃんが年を取ってからゾロリは元気がなくなったね」なんて絶対に言われたくないから、常に一番いいところを見せられるよう、観てくれる子供たちの姿を想像しながらやっています。
― AA
では最後に、「アニメ!アニメ!」読者にメッセージをお願いします。
― 山寺
子供たちに楽しんでもらいたい作品なんですが、子供の頃に原作の『かいけつゾロリ』シリーズを読んでいた人や、あの頃のドキドキワクワクする新鮮な気持ちを思い出すのにぴったりな映画です。
この冬、お子さんと一緒に観る映画を探しているお父さん・お母さんはこれしかないと思いますよ。
― AA
今日はありがとうございました!
『映画かいけつゾロリ まもるぜ!きょうりゅうのたまご』
12月14日(土)より全国ロードショー
http://www.zorori-movie.jp