誰もがうらやむシンデレラ・ストーリーを歩み続ける少女の名は、広瀬すず。
しかし順風満帆に見える彼女の『物語』も、実は人知れぬ苦難と葛藤の連続だった。
『ストリートジャック』にだけ語った、新・国民的女優の真実と本音とはーー?写真を拡大
広瀬すずは、孫悟空!?
その成長物語を振り返る
——今回の『四月は君の嘘』。試写会を見せていただきましたが、本当に素晴らしかったです。出演が決まったときはどう思いました?
広瀬 「自分の人生で、はじめて“音楽”っていうものに触れるんだ……」って思いました。それに、大人気の少女漫画が原作って聞いて……そわそわしました。それにヒロインの宮園かをりは、あの天真爛漫さをどうリアルに、親近感を持って、公生(主人公の有馬公生。映画では、山﨑賢人が演じる)に寄り添えるのかなっていうのは、すごく考えました。
——たしかに。やっぱり原作は読み込んだんですか?
広瀬 アニメーションをちょっと見ました。世界観は大事にしたいって思っていたんですけど、見過ぎると結構引っ張られがちなタイプなので(笑)。何話か部分的なところだけ見て、あとは台本から膨らませていきました。
——今回の『四月は君の嘘』もそうですが、『ちはやふる』をはじめ、人気漫画の実写化に縁がありますよね。
広瀬 いえいえ……。でも本当に作品と監督さんと、共演者の方にすごく恵まれて。運が強いんです。ひと作品ごとに、持って帰るものが多すぎて。自分的には「こんなすごい現場を経験させてもらってるのに、何も成長してない!」って思ってるんですけど(笑)。すごく刺激的で、独特な現場が多いんです。
——それは、そう思います。広瀬さんって、デビューからずっと「刺激的な現場で揉まれて、どんどん成長していく」っていう印象なんですよね。この記事を読む読者層の男のコって、みんな『ONE PIECE』や『ドラゴンボール』みたいな冒険漫画が好きなんですけど、そういう漫画の主人公って、敵と戦うたびにどんどん強くなっていくんです。
広瀬 はい。
ーー女優・広瀬すずを見ていると、『ドラゴンボール』とかとダブるんですよね。
広瀬 え? ドラゴンボール!(笑)はじめて言われました! 読んだことないんですけど。
——ダブる部分があるんですよ。ですから、このインタビューは、ドラゴンボールの主人公・孫悟空の成長過程を読んでいくように、広瀬すずの冒険の歩みを追っていきたいな、と。
広瀬 なるほど(笑)。

子どもの頃の夢は女優…
ではなく「ひとり暮らし」!?
——と、いうことで……一番古い記憶ってなんですか?
広瀬 わりと昔です。赤ちゃんの頃、まわりにいっぱい親戚や、父と母がいて。「なんで自分は歩けないんだ」って気持ちで見ていたのを覚えてるんです。「なんで自分はここに寝てるんだろう。あの人たちのところにいきたい!」って。それが一番古い記憶です。
——「自分はこうしたいのにできない」ってことに、モヤモヤイライラしている感情なんですね。
広瀬 1歳で保育園に入った日の記憶もあって。「親がいないのに、ひとりでいる自分、かっこいい」って思った記憶とか。ひとりが好きな子でしたね。ひとりで竹馬したり、泥団子を作ったり。……私、泥団子の名人って呼ばれてたんです。親指で削るように磨いていくと、砂がつるっつるになっていくんですよ。形が気に入らないとギューってつぶしちゃったりして。完璧主義で。あと、ひとりが好きで、年長のときに、将来の夢に『ひとり暮らし』って書きました。
——二十歳くらいで叶いそうな夢!(笑)将来の夢は、どう変わったんですか?
広瀬 小学2年からバスケをはじめたんです。で、そのときのコーチが厳しくて。
——……夢に女優さんがまったく出てきませんね。なかなか冒険が始まらない!
広瀬 そうですね。私、姉(女優でモデルの広瀬アリス(注※1))と4歳はなれてるんですけど、姉は小6から芸能活動をしてるんですね。スカウトされて。
——なるほど。お姉さんの影響もあるというか……。でもお姉さんが芸能界をやるって聞いたときはどう思いました?

広瀬 私、すっごく冷めてたので「よく自分がやれるなんて考えられるな。なんで自分から目立とうとしにいくんだろう」って思いました。「芸能界って美人さんばっかりだよ。かわいい人しかいないんだよ? 本当だよ?」って。
——ズッバズバですね(笑)。
広瀬 でも、それでもやるって言うんで。「お姉ちゃんって……ある意味すごいな」って思いました。で、それから1年くらい経ったあとに、私がバスケから帰ってきたら、テレビのドラマで姉が出てて(注※2)。セリフしゃべってたんです。
——それは驚きますね。
広瀬 「お姉ちゃんよりすごい人、もっといるのにドラマって!」って思ったし、「大人がいっぱいいる中でセリフがしゃべれるなんて、すごい勇気」って思って。そのときに急に興味がわいたんです。
——おぉ! 女優への興味が!
広瀬 いや、そんな現場でしっかりとセリフをしゃべれたっていう、姉の強い気持ちにです。一緒の家に住んでる家族だったから、広瀬アリスを人間として見てなかったんです。だから、人として姉に興味を持ちました。
——……すずさんって変わった人ですね。
広瀬 そうですか。すいません(笑)。
(注)
※1 広瀬アリス
広瀬すずの4歳年上の実姉。小学6年でスカウトされ、モデル・女優の道へ。2009年、ファッション雑誌『セブンティーン』の専属モデルオーディション「ミスセブンティーン」で工藤えみ、高田有紗、橋本愛らと共にグランプリに選ばれる。
※2 テレビのドラマにお姉ちゃんが出てて。
広瀬アリスの初出演ドラマ『ファイブ』のこと。正月ドラマスペシャルとして、NHK総合テレビで、2008年の1月に放送された。
このロングインタビューのダイジェスト版は、
8月24日(水)発売の『ストリートジャック』10月号でも読めます!
映画『四月は君の嘘』は
9月10日(土)全国東宝系にてロードショー!

一つの嘘が奇跡を起こす、切ないラブストーリー
母の死を境にピアノが弾けなくなった天才ピアニスト・有馬公生(山﨑)はある日、ヴァイオリニスト・宮園かおり(広瀬)に出会う。勝気で奔放だが、自由で楽しげに演奏する彼女に惹かれていく公生。しかし彼女はある秘密を抱えておりーー。監督:新城穀彦 原作:新川直司(講談社「月刊少年マガジン」所載) 出演:広瀬すず、山﨑賢人、石井杏奈、中川大志他 配給:東宝
詳しくはホームページをチェック! http://kimiuso-movie.jp/
Profile
広瀬すず
1998年6月19日生まれ、静岡県出身。ドラマや映画、CMに多数出演する傍ら、雑誌『Seventeen』専属モデルとしても活躍。TFM『SCHOOL OF LOCK! ~GIRL LOCKS!~』(毎月第2週担当/月~木22:15~)ではラジオのレギュラーパーソナリティも務めている。右の最新出演作に続き、2017年春公開予定の主演映画『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』が控える。