猪木イズム…これは思春期の影響として、オレの体の中に刷り込まれているものですね。アントニオ猪木、梶原一騎、角川春樹。
まず猪木さん自体の生涯がすごい。いま新潮社で文庫になっている『アントニオ猪木自伝』を、何十冊も書いだめして、行くホテル行くホテル、ホテルの机の中の聖書と入れ替えていましたね(笑)。これは日本人が読むべきバイブルだと。猪木派の福音書だと。
百瀬(博教)さんをインタビューしたのがきっかけで、猪木さんご本人とも何度もプライベートで会うようになりました。それで百瀬さんと猪木さんのホテルでの打ち合わせとかにも同席しているから、いろいろ裏話とかも知っているんです。
2002年「Dynamite!」、地上3000Mから降臨の猪木から激ビンタ!
2002年に「Dynamite!」、国立競技場で10万人集めた試合で猪木さんが地上3000メートルから降りてくるという演出がありました。
で、実はあの時、猪木さんはすごい怒っていたんです。なぜならノーギャラだから(笑)。百瀬さんに(事前の打ち合わせで)「猪木が空から降りてきて、、ってそんなことに値段つけられるわけねえだろ! ノーギャラでやれ!」って言われて。
だからあの時、猪木さんはすごい不本意でやっていたんです。
そしたら…猪木さんがパラシュートで降りてきて、殺気立って、リングに上がる前に猪木さんと眼があったら、「サアアア バアアン!」とおもいっきり顔を張られるんですよ。闘魂ビンタの本気版ですよ! (TV)放送にはオレの「ギャアアア!」という悲鳴だけ聞こえます。10万人の観衆の中でなんでオレだけそこまでやられないといけないんだと思いましたよ(笑)。
そういうこともありました。最近のプロレスはずっと「猪木イズム」がなかったので、もの足らないって思い込んでいましたけど、今ようやく、オレもそういう猪木洗脳から脱してきましたね。
でも、「猪木イズムとは何か?」って元バトラーツの石川雄規が言っているんですけど、「ロマンをとことん追求するヤツラをとことん追求すること、そしてそれを否定するヤツラをとことん追いかけていくこと、例えば自分が天国にいて、憎いやつが地獄にいたとしたら、わざわざ天国を捨てて地獄にぶん殴りに行く!そういうエネルギーが猪木イズムです!」って。
それはプロレスに限らずの話で、もう一生を通じて猪木イズムを胸に、俺は洗脳されたままでイイって思うけどね(笑)。