
リコーの“島流し訴訟”をご存じだろうか。この事件は2011年5月、リコーがグループ全体で従業員1万人の削減を発表したことに端を発する。
その直後、「人事に関する面談」と称して40代後半~50代の特定の社員を呼び出し、執拗に退職を迫った。拒絶する社員を「子会社の物流会社の倉庫や本社工場に配転、出向させる」と脅し、計4度にわたる退職強要を断った社員は、実際に倉庫や工場の現場に飛ばされた。
こうして“島流し”の憂き目に遭った社員のうち、A氏とB氏(ともに男性、仮名)が、物流会社リコーロジスティクスへの出向の無効や、出向による身体的、精神的苦痛に対する慰謝料として各220万円をリコーに求め、12年6月8日、東京地裁に提訴した。
その後、審議を経て昨年11月12日、ついに一審判決の日を迎えた。判決開始の10分前に法廷に入ったところ、傍聴席全16席のうち半分は報道席となっていた。法廷内の報道席は記者クラブ限定の席である。すでに記者クラブメディアは4、5人来ており、テレビカメラも1台入っていた。その後、裁判長席に向かって右手の被告リコー側の席に、30代の男性弁護士が3人着席した。左手の原告側には、男女各3人の弁護士が座った。