部屋のニオイが気になる……そう感じることはないだろうか? 筆者はとある企画で若い人のお悩みに触れる機会が多いのだが、「立ち仕事なので疲れやすい」「寝起きが悪いので気持ちよく目覚めたい」といった日々の生活にまつわるお悩みに加えて、「部屋のニオイが気になる」というのがちょくちょく見受けられるのだ。

 PM2.5や花粉などの問題から、衣類を外で干すのではなく部屋干しする人が増えていることもあり、脱臭したり、ニオイの原因となる雑菌を除菌したいというニーズが高まっているのだろう。

ペットを飼っているとその糞尿のニオイはどうしても気になるし、在宅介護をしているお宅では排泄物臭が気になるという場合もあると思う。

 こうした背景から最近注目度が高まっているのが、「除菌脱臭機」だ。

 空気清浄機に脱臭機能を備えるモデルも決して少なくない。活性炭フィルターでニオイを取り除くものもあれば、シャープの「プラズマクラスター」やパナソニックの「ナノイー」などのイオン放出機能によって除菌・脱臭を行うモデルもある。

 しかし空気清浄機では「8大生活臭」と呼ばれる汗臭、加齢臭、30~40代特有の体臭、部屋干し衣類の生乾き臭、料理臭、タバコ臭、ペット臭、排泄物臭をしっかりと取りきることができない。そこで注目されてきたのが、空気清浄機の付属機能ではなく、専用の除菌脱臭機というわけだ。

「脱臭」といっても活性炭、オゾン、次亜塩素酸などさまざま

 一口に「除菌・脱臭」といっても、その方法はさまざまだ。殺菌効果の高いオゾンや次亜塩素酸を用いて細菌やウイルスを分解するもの、光触媒や酸化触媒などの触媒を用いて分解するもの、活性炭などのフィルターに吸着させるものがある。

 最近登場してヒットとなったのが、パナソニックの「ジアイーノ」シリーズだ。これは水と塩タブレットを電気分解することで発生する「次亜塩素酸」によって室内の空気の除菌・脱臭を行うというもの。次亜塩素酸は水の殺菌などに用いられているもので、空間内にあるニオイ成分などを分解する際に反応臭としてかすかに塩素のニオイがするのが特徴となっている。

 富士通ゼネラルの「PLAZION(プラズィオン)」シリーズは、フィルターに吸着したニオイ成分を酸化触媒によって分解するだけでなく、内蔵のオゾンユニットも加えることでさらに除菌・脱臭効果を高めている。

フィルターを利用した空気清浄機能を備えるモデルもあるので、どちらも欲しいという人にはピッタリのモデルかもしれない。

 シャープのプラズマクラスター除菌脱臭機は、イオン濃度を従来比約2倍まで高めた「プラズマクラスターNEXT」と、吸着したニオイを分解する「光触媒脱臭フィルター」によって8大生活臭を除菌・脱臭するとのことだ。

 三菱電機の「デオダッシュ」は、介護施設などにターゲットを絞ったユニークなモデルだ。粒径0.3μm以上の微小粒子状物質を99.97%除去するHEPAフィルターで花粉やハウスダストなどを除去できるだけでなく、排泄臭に多い「アンモニア」「メチルメルカプタン」「硫化水素」成分を独自配合の触媒で分解することで介護時の悩みを解決してくれる。ヒーターによって触媒の働きを促進するだけでなく、触媒の働きを再生してくれる。次亜塩素酸やオゾンのような有害物質を発生しないというのも安心できるポイントだろう。

 これら大手メーカーに加えて、光触媒によって除菌・脱臭を行うカルテックの「TURNED K(ターンド・ケイ)」シリーズも登場した。こちらは光触媒だけで室内の空気を除菌・脱臭するというものだ。オゾンや次亜塩素酸のように有害物質を一切放出しない上に、活性炭フィルターなどのように一度吸着した有害物質を再放出するようなこともないと、開発したカルテックの染井潤一社長は自信を見せていた。

決め手のひとつは“作用感”と安全性のバランス

 除菌脱臭機は、空気清浄機と違って“作用感”が得やすいというのがポイントだ。室内に気になるニオイがある場合、特に外出先から帰宅した際などにそのニオイを強烈に感じることは多い。しかし除菌脱臭機がしっかりと働いてくれれば、帰宅時にもその違和感や不快感を感じずにすむ。

とはいえ、その作用感も毎日使っているとだんだん感じなくなるかもしれない。

 そういう意味では、オゾンや次亜塩素酸を利用した除菌脱臭機は常に作用感を感じやすい。オゾンはプラズマ放電などで発生するため、地下鉄の駅構内などでそのニオイを感じたことのある人は多いはずだ。次亜塩素酸の場合、いわゆる塩素のニオイがするため、病院の待合室のような清潔感を感じる人も多いことだろう。

 これらのニオイがするということは、実際に細菌やウイルス、ニオイ成分などに反応している証拠なので、実際に働いてくれているという安心感を感じる人は多いのではないかと思う。

 ただし、オゾンや次亜塩素酸は人体にとっては有害物質でもある。そのため、人体に悪影響を及ぼさない濃度に抑えているとはいえ、こうした有害物質が発生しないもののほうがいいという人もいることだろう。そういう人の場合、オゾンや次亜塩素酸を用いず、フィルター吸着や光触媒・酸化触媒での分解によって除菌・脱臭を行うモデルを選ぶのがおすすめだ。

(文=安蔵靖志/IT・家電ジャーナリスト)

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