大晦日に放送される『第70回NHK白歌合戦』では、今年7月に逝去したジャニーズ事務所の創業社長・ジャニー喜多川氏の追悼企画を行う。来年1月22日にCDデビューするSixTONESSnow Man率いるジャニーズJr.が登場し、パフォーマンスを披露するという破格の扱いだ。

 この発表を受けて、ネット上ではジャニーズファンから「なぜジャニーズJr.が紅白に出るのか」という不満の声が相次いだ。A.B.C-ZジャニーズWESTSexy Zoneなど紅白に出場できないデビュー組もいるからだ。Sexy Zoneは6年連続で出場していたが、今年で途切れた。

 ゆえにデビュー組のファンが、CDデビュー前の“ジャニーズJr.”の出場に憤る気持ちもわからなくはない。

 ただ、そもそもジャニーズ事務所所属のタレントは紅白に大勢出すぎである。ジャニーズ事務所による紅白の私物化は、目に余るのではないか。

ジャニーズから7組も出場

 元々、紅白には“ジャニーズ枠”なるものがあると言われてきた。90年代から00年代にかけては、ジャニーズ枠はSMAPとTOKIOだけだったが、2009年にが初出場したのを皮切りにジャニーズから出場するグループ数は増えはじめた。2015年にはジャニーズは7組も出場している。

 ジャニーズタレントが司会に選ばれることも極めて多い。90年代・00年代は中居正広のみだったが、2010~2014年は嵐が5年連続で白組の司会を務め、2015年はV6井ノ原快彦だった。

 井ノ原はNHK『あさイチ』の司会で人気を博していたため、納得の起用ではあるが、それ以降は嵐メンバーが個々で司会を務める流れが確立。

2016年は嵐・相葉雅紀、2017年は嵐・二宮和也、2018年と今年2019年は嵐・櫻井翔が二年連続で白組司会に選ばれている。遡ると、2006年から14年連続で紅白の司会者はジャニーズタレントなのだ。

 毎年秋頃になると、今年の紅白の司会者が話題になるが、白組司会はジャニーズというのが公然の事実のようになっている。

 そして今年の紅白は、例年にも増して“ジャニーズ祭り”だ。白組歌手として出場するのは嵐、関ジャニ∞Hey! Say! JUMPKis-My-Ft2、King & Princeの5枠。白組出場歌手は全部で21枠だから、約4分の1がジャニーズだ。

 前述したようにジャニー喜多川氏の追悼企画として、SixTONESとSnow Man率いるジャニーズJr.も出演する。

一方では「新しい地図」を起用するNHK

 NHKはジャニーズ事務所と深い関係を築いているようだが、一方で今年7月、公正取引委員会(以下、公取委)がジャニーズ事務所に口頭注意を行っていたことを真っ先に報じたのもNHKだ。また、ジャニーズ事務所から独立した「新しい地図」の面々を起用する動きも見せている。

 公取委がジャニーズ事務所に口頭注意を行った理由は、ジャニーズ事務所が独立した「新しい地図」の稲垣吾郎草なぎ剛香取慎吾をテレビ番組に出演させないよう、民放テレビ局などに圧力をかけていた疑いを持たれ、独占禁止法違反のおそれがあるとしたからだった。

 3人はSMAP時代はそれぞれ地上波のレギュラー番組を持っていたが、独立後は打ち切りとなり、地上波のテレビ番組に出演することはめっきりなくなった。しかしNHKは、草なぎがジャニーズ事務所を独立してからも、『ブラタモリ』のナレーションに起用し続けている。

 今年10月には、『逆転人生』に草なぎがゲスト出演。12月27日に放送開始したジャーナル番組『不可避研究中』では稲垣がメインMCを務める。稲垣は12月8日放送の『NHK俳句』にもゲスト出演している。また、12月27日放送の『あさイチ』のプレミアムトークにも草なぎ剛が登場した。

 他方でジャニーズ事務所との親密な関係は維持しており、来年の東京五輪では嵐がNHKのナビゲーターを務める。「新しい地図」側ともジャニーズ事務所とも良好なお付き合いをするNHKの要領の良さが伺える。

(文=WEZZY編集部)

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