木村佳乃主演の連続テレビドラマ『後妻業』(フジテレビ系)の第6話が26日に放送され、平均視聴率は前回から0.1ポイント増の5.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。
このドラマは、遺産相続目当てで資産家の老人の後妻に収まり、次々と大金をせしめる武内小夜子(木村佳乃)と、小夜子の正体を暴こうとする中瀬朋美(木村多江)の対決をメインとした物語。
大竹しのぶが小夜子を演じた映画版はブラックコメディの傑作として話題を集めたが、ドラマ版も「資産家の娘が小夜子と対決する」という大枠は同じだ。資産家の娘を演じる木村多江は演技派として定評があるだけに、当初はサスペンスチックな展開も期待された。
ところが、第6話まで放送された現時点で、このドラマは視聴者が当初抱いた期待を大きく裏切っている。緊張感ある本格サスペンスをやるわけでもなく、徹底して悪を描いたなかにおかしみを感じさせるブラックコメディをやるわけでもなく、ツッコミ満載のおバカドラマをやるわけでもなく、すべてにおいて中途半端。何をやりたくてこの題材を選んだのか、いったい何を描きたいのか、さっぱり伝わってこない。
脚本も素人レベル。おもしろくなりそうな場面や話を広げられそうな展開をいくつもつくっておきながら、特に何を起こすわけでもなくことごとくスルーしてきた。第6話もその例にたがわず、「そこで盛り上げないでどうするんだよ」とツッコミたくなる展開の連続だった。
その代表的な例が、探偵の本多芳則(伊原剛志)と朋美の浮気の扱い。優等生キャラの朋美が不倫に堕ちてしまうというストーリーは非常にドロドロ感があふれていて良いし、この先のトンデモ展開に期待を持たせた。ところが第6話の冒頭でこのふたりは我に返り、「これっきりにしたほうがいいよね」「そうやな」とあっさり男女の関係を終えてしまう。
小夜子が狙う元開業医の笹島(麿赤兒)も、非常につまらない奴である。麿赤兒といえばコワモテ俳優としておなじみだが、演じる笹島はただの好々爺。自分よりだいぶ年下の小夜子が親しくもないうちからあからさまに遺産を狙ってくるのに、まったく素性を疑いもしない。元医者なんだから、もうちょっと頭が良くてもよさそうなものだ。朋美から小夜子の正体や過去の悪事を洗いざらい聞かされても、深く追求することなく小夜子の言い分を一方的に信じるだけ。いやいや、もっと疑うとか調べるとかしないと、話が盛り上がらないではないか。どうしてこうもこのドラマの脚本家は、おもしろくなりそうな展開を自ら手放していくのか。
ただ、最後の希望になりそうな存在が第6話の後半で登場した。不動産会社の役員・舟山(中条きよし)である。
『後妻業』がつまらない原因のかなりの部分は、小夜子や柏木が全然ピンチにならないところにある。最終盤で中条きよしがその役目を果たしてくれたら良いのだが。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)