この国では、小学生から中学生、そして高校生といったように、年齢を経るごとに学校教育の場を何度か移動しつつ、社会に出るまでに基礎的な知識を身につけていくのが、一般的な子供の成長過程だ。
一方で、様々な理由で学校に行きたくないと考える子供も少なくない。
■時間割もなし、先生もなし、生徒が自主的に過ごし方を決めるサドベリースクール
鳥取県智頭町。ここにちょっと変わった学びの現場がある。新田サドベリースクールは、山間に建つ牧歌的なログハウスだ。昨年、全日制民間スクールとして開校したばかりだという。
1968年にアメリカで発祥したサドベリースクール。その理念は、子供の主体性を尊重し、自主的な活動で思考し、判断する力を身につけさせるというもの。教育機関による通り一遍の勉強方法とは、子供に対しての考え方が土台から異なっている。
こうした、既存の学校以外の学びの場を「オルタナティブスクール(代替学校)」と呼ぶ。
■オルタナティブスクールは補助金なし、平均会費月3万3000円
ただ、海外ではそれなりに浸透しているオルタナティブスクールではあるが、日本では公的に認められた教育機関ではないため、まだまだマイナーではある。しかも、こうしたスクールは学校制度の外に位置しているため、現状、公的支援を受けられないという問題がある。
一方で、肝心の子供たちはと言うと、90年代以降は学校に行くことを拒む、いわゆる不登校児が急増している。現在では、毎年12万人前後の子供が不登校状態となっていると番組は説明している。
オルタナティブスクールが、そんな彼らを受け入れるための施設として機能する余地はある。
オルタナティブスクールは、具体的にどの程度のコストがかかるのか。特集では、入会金が平均で5万3000円、月の会費が3万3000円と紹介されている。率直に言うと、高い。
■与野党の超党派議員連盟が発足、多様な学びの法制化を検討中
しかし、学びの多様性をいつまでも阻害していたって、良いことは一つもない。折りしも昨年、文部科学省は、はじめてオルタナティブスクールの実態調査を行った。
親の負担もさることながら、運営している側もギリギリの状態なのだ。このため、オルタナティブスクールの関係者たちは、多様な学びの法制化に向けて動き出している。
実際、この働きかけによって、一昨年には与野党含む超党派の議員連盟は既に発足している。
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