若者の都市圏への流出が続く中、地方では担い手不足が大きな課題となっている。その解決に向けて2025年度より総務省主催で実施されているのが「大学等と地域が連携して取り組む地域課題解決プロジェクト(以下、「ふるさとミライカレッジ」)」である。
3月12日、そのノウハウ蓄積などを目的として行われてきたモデル実証事業の最終報告会が都内で開催された。会場では、15のモデル自治体が学生たちと取り組んできたさまざまなプロジェクトと成果が発表され、参加者の関心を集めていた。本稿では、その様子を伝える。
総務省が開会、事業の狙いと期待を説明
○自治体と大学が連携、地域課題解決の実証事業
報告会ではまず、総務省 地域力創造グループ 地域政策課 課長の大森康宏氏による開会挨拶が行われた。大森氏は、ふるさとミライカレッジについて「自治体と大学等が連携し、地域の方々と学生がさまざまなフィールドワークを通して地域課題を解決していく取り組みの実証事業である」と概要を説明した。
2025年9月の対面相互学習会、12月のオンライン中間報告会などを経て最終報告会が開催されたことにも触れ、「その間、自治体や大学、NTT東日本およびNTT DXパートナー、関連事業者、有識者から多くの助言をいただいた」と謝意を示し、「本日の発表には地域住民や学生の努力が凝縮されていると期待している」と述べた。
また、今回の取り組みが全国の地方自治体のヒントになる可能性に言及し、「試行錯誤や改善点も含めて発表いただければ、より示唆に富んだ会になる」とコメントした。さらに、多くの自治体・大学関係者が対面およびオンラインで参加している点に触れ、「本日の発表を契機に新たな一歩を踏み出す場となることを期待する」と結んだ。
最終報告会に153名が参加、関心の高さ示す
次に、事業の全体統括を担当するNTT DXパートナーのシニアマネージャー、片岡直之氏が登壇。「報告は各自治体のテーマに応じて『交流促進・観光振興/関係人口創出』『拠点整備・空間/制度づくり』『教育・学び/人材育成』の3カテゴリーに分類して進める」と説明し、「自治体の日頃の取り組み成果をぜひ発表してほしい」と述べた。
その後、有識者を代表して東京大学 まちづくり研究室の小泉秀樹教授が登壇。
報告会はオンライン配信も実施され、現地参加58名、オンライン参加95名の計153名が参加した。自治体や大学だけでなく民間企業からの参加も多く、地域課題解決への関心の高さがうかがえた。
酒蔵ツアーや古民家リノベ、若者視点のプロジェクトが各地で展開
観光・関係人口創出:ツアーやイベントで地域の魅力を発掘
最初に発表されたのは「交流促進・観光振興/関係人口創出」グループだ。
秋田県能代市は、木材産業で知られる“木都能代”の魅力を伝える「木都ツアー」や学生拠点づくり、公共空間イベントなどで掘り起こす取り組みを紹介した。
長野県飯田市は、地域の学生が飯田市に継続して関われるよう基盤となる学生団体「遠山郷クラブ」の創設や、地域資源を活用した共創アイデアコンペの実施、その商品化・事業化に向けた取り組みなどを発表。
京都府京丹波町は、年間300万人が訪れる道の駅から町内観光への導線となるアプリ・動画の制作やホテル誘致、冬季観光ニーズを酒蔵ツアーなどで創出する取り組みを説明した。
和歌山県は空き家活用や商品開発などで関係人口を創出するプロジェクトを発表。沖縄県宮古島市は観光人材育成としてインターンやフィールドワークを実施し、複業による所得向上を目指す取り組みを紹介した。
拠点整備・制度づくり:古民家リノベや交流拠点を整備
続いて「拠点整備・空間/制度づくり」グループの発表が行われた。
新潟県南魚沼市は、若者の視点を取り入れた古民家や公共施設のリノベーションを推進。
島根県雲南市では、地域イベントや滞在拠点を通じて交流機会を創出。北海道月形町は、農業や福祉など複数分野でフィールドワークを行う「ツキガタイケン」を展開している。
防災や地域課題にも対応、宇和島市の事前復興プロジェクト
愛媛県宇和島市は、防災をテーマにした事前復興プロジェクトを発表した。
学生と連携したフィールドワークを通じ、避難計画や備蓄体制などのソフト面と、拠点施設や避難路整備といったハード面の両面で検討を進めている。南海トラフ地震への備えを見据えた取り組みとして注目される。
東大やNTT東日本・NTT DXパートナーと連携、小布施町の共創プロジェクト
環境・経済・コミュニティの3分野で実証
「教育・学び/人材育成」では、山形県小国町、福島県玉川村、新潟県十日町市などの事例が紹介された。
長野県小布施町は、東京大学およびNTT東日本・NTT DXパートナーと連携した共創プロジェクトを紹介した。
小布施町では、これまでにも合宿型の「小布施若者会議」やコロナ禍での関係人口維持を目的とした「小布施バーチャル町民会議」など、産業振興と移住定住を掛け合わせた取り組みを行ってきたが、今回はこれを産学官連携の「ミライ構想カレッジ in 小布施」としてさらに発展させた。
人と人とのゆるいつながりが新しい価値や共創人口を生み出すのではないかという仮説のもと、「環境」「共同体」「経済」の3チームでフィールドワークと事業構想・実証を進めたという。
共創人口の創出へ、拠点施設「ourai」を活用
これらの取り組みは、改修した地域拠点「ourai」を中心に展開された。
環境チームではコンポスト(微生物の働きで有機物を堆肥化する容器)を使った生ゴミ堆肥化とそのオープンガーデン(民家や寺社の庭園を一般公開する小布施町に根付く文化)での活用を、経済チームでは地域の人材や地域おこし協力隊の仕組みを生かした地域ビジネスの可能性について検証を実施。
住民同士のつながりを再発見するとともに、訪問者が地域の魅力を体験できる場として機能させることで、「共創人口」の創出を目指している。
島留学から起業へ、海士町の取り組み
教育魅力化と地域留学で人口減少に歯止め
さらに島根県海士町との連携も発表され、「大人の島留学」を通じた人材還流を目指す方針が示された。
海士町は「大人の島留学」などの取り組みを発表。同町はこれまで廃校寸前の高校を復活させた「教育魅力化プロジェクト」や毎年200名を超える学生の1年間滞在を受け入れる地域留学制度「大人の島留学」などによって、離島という不利な立地にもかかわらず人口の下げ止まりを実現してきた。
しかし、それが地域課題解決や産業創造につながったケースは少なかったため、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科などと連携して共創プログラムを立ち上げ、システム×デザイン思考などの方法論を適用しながら事業共創・人材育成を目指したそうだ。
「都市と地方をつなぐ」事業の狙い、2026年度も継続へ
報告会後、大森氏にふるさとミライカレッジの狙いについてうかがったところ、「地域の大学と自治体が連携する取り組みは従来から各地で行われてきましたが、都市部の大学と地方の連携を強化することで、都市から地方への人の流れを生み出すことを狙っています。さらに、世代や出身の異なる人材が参画することで、新たな展開につながることも期待されています」と説明した。
今回のモデル事業では15自治体を選定したが、応募は多数あったという。「地域バランスを考慮し、またさまざまなテーマが含まれるように15自治体を選ばせていただきました」と同氏は語る。
1年の成果と今後への期待
最終報告会を終えた感想をうかがったところ、大森氏は次のように述べた。
「1年という限られた期間でしたが、学生が地域に入り、さまざまな取り組みを展開して一定の成果を出すことができたと思います。大切なのはこれで終わりではなく、来年度以降も継続的に関係を築いていくことです。
総務省は2026年度も第2弾を実施予定である。
NTT DXパートナーが担った役割と参画の背景
NTT DXパートナーの片岡氏は、同プロジェクトに関わったきっかけについて、次のように語る。
「NTT DXパートナーはこれまで、地域資源や人材を地域内で循環させる『地域循環共生圏』の実現に向けて、新潟県佐渡市や新潟大学と課題解決プログラムを進めてきました。また、長野県小布施町や東京大学と連携し、共創人口の創出にも取り組んでいます。現在、人口減少が進行する中で、地域と継続的に関わる『関係人口』をいかに創出していくかが大きな課題となっています。本事業はその課題解決につながるものと考え、参加しました」
NTT DXパートナーは本事業で全体統括を担い、ふるさとミライカレッジに採択された15モデル自治体の事務局運営をはじめ、先進事例の調査分析、マッチングウェブサイトの構築、大学等と自治体のマッチング支援、広報の計5業務を担当した。
デジタルで地域課題を解決、共創の広がりに期待
最後に、片岡氏は今後の展望について、次のように語った。
「NTT DXパートナーは、DXの力を活用し、地域課題の解決や産業振興に向けて、地域の可能性や魅力を最大限に引き出し、地域内での循環や自走の実現を支援する企業です。
地域の現状として、人口減少、とりわけ若者の都市圏への集中による地方の人口減少は深刻な課題となっています。本取り組みを通じて、関係人口を創出する仕組みの一端を構築できたことは、今後につながる価値ある成果であると捉えています。
また、地域外からの関係人口創出に加え、地域課題の解決や産業振興に向けたリカレント教育やリスキリング事業にも取り組んでおり、実務実践型の講座や実装を見据えた共創型の地域課題解決を推進することで、域内外を問わず、世代を超えて誰もが学びながら地域に貢献できる環境づくりを目指しています。今後は、多様な主体とともに、さらなる共創による地域課題解決や産業振興を進めていきたいと考えています」











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