『孤独のグルメ』原作者で、弁当大好きな久住昌之が「人生最後に食べたい弁当」を追い求めるグルメエッセイ。今回『孤独のファイナル弁当』として取り上げるのは羽田空港で買った弁当。
孤独のファイナル弁当 vol.24「羽田で最後の弁当はなんだ?」
九州に行くので羽田空港に行った。テラス席に、焼き肉と白いごはんの弁当的なものを食べている人がいた。見た瞬間、「今回のファイ弁(もう略してる)あれだ! あれはなんだ? どこに売ってるんだ?」
となった。お昼でお腹がすいているのもあるが、いわゆる連載病である。
並んだ店を見回ると、あった。トルコ料理店にあった。なるほど。いいじゃないか。メニューの写真でわかった。さっきのは「ミックスケバブプレート」1600円。ちょっと高いが、うまそうだし、決める。飲み物はウーロン茶にした。
席は出発階を見下ろす場所で、アリのように行き交う旅行者を眺めてゆっくり食べるのは、なかなか気分がよい。
ちょいと時間がかかって出てきたものは、弁当型容器に入った、焼き肉3種と、白米(安全安心のオーガニック米を使用、と書いてある)と、ぎゅっと詰まって見えるミックスサラダだ。飾り気ないのがいい。肉には一部ケチャップ色のソースがかかっている。
プラスチックのフォークとナイフを使って肉の一片を半分に切る。切りにくいかと思ったら、すいすい切れる。これは肉がいいのか、プラナイフがよくできてるのか。
む、うまし。切れるのは肉が柔らかいからだった。ケチャップ的なの、あっさりしていてよい。トマトピューレに近いソース。
すぐにごはんを追っかける。細長いバスマティライスではなく、普通の白米だが、小粒で水分少なめにぱらっと炊かれており、肉に合う。弁当だがあったかいのは嬉しい。
サラダのドレッシングはヨーグルトの味がした。地中海系のサラダによくある。これも好き。野菜自体おいしい。
次に食べた肉は、明らかにラムだった。
鶏肉もうまい。そのまま塩味もいいし、ケチャ的なやつの余りをナスリっつけて食うのもうめえど。
この弁当、よい。値段と釣り合っていると思う。また羽田でこれ食べる気がする。いや、これはファイナル想定だ。ならば来世でもこれ食べてうまいと言いそうな気がする。
―[連載『孤独のファイナル弁当』]―
【久住昌之】
1958年、東京都出身。漫画家・音楽家。代表作に『孤独のグルメ』(作画・谷口ジロー)、『花のズボラ飯』(作画・水沢悦子)など。Xアカウント:@qusumi
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