「まだないやり方で、世界を前へ。」というビジョンのもと、法律相談ポータルサイトや電子契約サービス「クラウドサイン」などを展開し、リーガルテック分野をけん引してきた弁護士ドットコム株式会社。創業者であり代表取締役社長兼CEOを務める元榮太一郎氏は、弁護士としてのキャリアを出発点に、起業、そして参議院議員という異色の経験を経ながら、法律とテクノロジーの融合による社会変革に挑み続けている。
大学時代の原体験から起業を決断した背景、長く赤字が続いた創業期を支えた信念、政治経験がもたらしたリーダーシップ観、そしてAI時代のリーガルテックの展望まで――。元榮氏のキャリアの歩みと、挑戦を続けるための思考について話を聞いた。
交通事故で出会った弁護士が人生の転機に
――弁護士を志したきっかけは、大学時代の交通事故が原体験だったそうですね。その出来事は、当時の元榮さんにどんな影響を与えましたか。弁護士の仕事のどのような点に感銘を受けられたのでしょうか。
相手方の保険会社から9対1の過失割合だとやりこめられふさぎ込んでいましたが、そんな私を救ってくれたのは法律相談会で出会った弁護士でした。弁護士からのアドバイスをそのまま保険会社に伝えただけで、相手の様子は一変し、過失割合はたちまち7対3という話になったのです。この出来事を通して「弁護士という存在はこんなにも困っている人の役に立てるのか」と深く感銘を受けました。
大手法律事務所で見た「非効率」が起業の発想に
――慶應義塾大学卒業後、大手法律事務所に入所されています。当時の仕事で得た経験は、後の起業にどのように生きましたか。
法律事務所ではファイナンス、国際取引などの多くの業務に従事しましたが、中でも印象的だったのは、M&A案件で上場ベンチャー企業というものを初めて目の当たりにしたことです。そのダイナミックさに無限大の可能性を感じ、弁護士という立場で起業することが自分にとってのオンリーワンの生き方につながるという考えにつながりました。
また当時の実務において、大量の紙の契約書を製本し、大勢の関係者に回覧して膨大な数の捺印をもらう作業に2週間以上かかっていました。「21世紀にこんな非効率なことをやり続けるのはどうなのか」という疑問を抱いた原体験が、電子契約サービス「クラウドサイン」の事業構想へとつながっています。
「弁護士プラスα」を目指して起業を決断
――弁護士という安定したキャリアを持ちながら、2005年に弁護士ドットコムを創業されています。起業を決断した理由は何だったのでしょうか。
司法制度改革がはじまり、これから弁護士の数が増えるだろうとの予測が進み、「弁護士プラスα」という生き方を常に意識していました。そんな中、2004年秋に引越し業者を比較するサイトを見たとき、弁護士業務というサービスも比較・検討できたり気軽に相談できるサイトがあれば大きな価値になるとひらめいたのが大きな転機です。
弁護士に救われた大学時代の原体験の解消とともに、このサービスは必ず世の中のためになるに違いないという確信に変わり、起業を決断しました。
猛反対の中でも「理解されないほどチャンス」
――当時は「弁護士がベンチャーをやる」という発想は珍しかったと思います。周囲の反応や不安はどのようなものでしたか。
当時は弁護士が起業すること自体が前代未聞でしたから、周囲の知り合いや仲間からは行く末を心配され、全員から猛反対を受けました。引き止めの声ばかりでしたが、私は誰からも理解されない状況になると俄然やる気が出る性格なんです(笑)。
「絶対にうまくいかないと言われるようなアイデアにこそ、とてつもない可能性がある」と信じているため、誰にも理解されない状況は、裏を返せばビッグチャンスになり得ると捉えています。
赤字でも続けられた理由は「ユーザーファースト」
――創業後は長く赤字が続いた時期もあったそうですが、その期間を支えたものは何だったのでしょうか。
「このサービスは絶対に世の中の役に立つ」という強い信念と、サービスを支持してくださる利用者からの感謝の声です。とにかくユーザーファースト・弁護士ファーストで、自分たちの利益は最後でいいという思いを貫き、世の中に使ってもらえるプラットフォームになるまで収益化は考えていませんでした。
毎日多くの法律相談が寄せられるのを見て、このサービスが社会から確実に求められていると信じて疑わなかったんです。これを続けるためなら何でもやろうと心に誓っていたからこそ、耐え抜くことができました。
政治経験が広げた視野とリーダーシップ
――2016年から2022年まで参議院議員も務められました。政治の世界に飛び込んだ理由と、その経験から得たものを教えてください。
飛び込んだのはちょうど40歳目前のタイミングでしたが、ルールメイキングのど真ん中である国政を経験し、そこで得た国家観や視野を自らの人生に活かしたかったからです。
実際に政治家として活動する中で痛感したのは、自分がこれまで関わってきた世界がいかにスーパーマイノリティだったかということです。光のあたらないような方々の声も受け止め、政策に活かしていく経験を通じて、視野が大きく広がりました。人間力やリーダーシップの面でも途方もない成長を得られました。
――弁護士、起業家、政治家という三つの経験は、現在の経営にどのような影響を与えていますか。
特に政治家としての経験を通じて、人と真摯に向き合ってこそ、初めて人の心を動かすことができると痛感しました。会社が成長し組織が拡大した現在においても、これは決して変わることのない原理原則です。まず心と心をあわせることが、戦略や戦術を上回る強大な推進力を生み出します。
この信念は「ONE弁護士ドットコム」という言葉として社内に深く浸透させています。メンバーと心を一つにし、目先の成長にとどまらず、長期的そして超長期的にスピード感をもって永続する企業へと成長させていく覚悟です。
AIで「法律の民主化」を実現へ
――現在、弁護士ドットコムは法律相談サイトや電子契約サービス「クラウドサイン」など、リーガルテックの分野で大きく成長しています。今、特に力を入れている取り組みは何でしょうか。
現在、私たちが最も力を入れているのは、リーガル領域におけるAIの社会実装です。当社がこれまで蓄積してきた膨大な法律相談や判例などの独自データと、生成AIを組み合わせたコアテクノロジー「リーガルブレイン」の開発に注力しています。
この独自のAI基盤を活用し、企業法務や弁護士の実務、さらには一般の方々の法的トラブル解決まで、幅広い層の課題解決に向けたサービス展開を構想しています。法律とテクノロジーを融合させ、次なる常識をつくる「プロフェッショナル・テックカンパニー」への進化を目指します。
――法律とテクノロジーの融合によって、社会はどのように変わっていくと考えていますか。
コンプライアンスの厳格化・複雑化を背景に法的判断のニーズが高まる一方、それを担う社内の法務人材や法曹人口は不足しており、リーガル業界全体は極めて深刻かつ構造的な人材不足に直面しています。
実は法律や税務などのいわゆるプロフェッショナル領域は知識が体系化されていて、AIとの相性が極めて良い領域です。弁護士や法務担当者のリサーチ業務、文書起案、文書レビューなどをデジタルレイバーが担い、人間はよりクリエイティブなことに時間と労力を割けるようになるでしょう。
一般消費者にとってはAIを活用した相談ツールやリスク確認などの新しいサービスが生まれ、いわゆる「法律の民主化」の世界が到来すると思います。日常生活においても保険や賃貸契約など多くの契約行為があるわけですが、「この契約書を要約して」「気を付けた方がいいポイントは?」などをAIに問いかけるだけで答えをもらえる世界がくると思います。
そうなれば、創業時から私たちが掲げてきた「専門家をもっと身近に」するという目標が、本当の意味で社会に浸透していくはずです。もちろん当社も引き続きその後押しをしていきます。
キャリアの軸は「困っている人を救う」
――これまでのキャリアを振り返ると、「法律」「社会課題」「テクノロジー」など、いくつかの軸が見えてきます。元榮さん自身が自分のキャリアを考えるうえで、最も大事にされていることは?
創業当時から一貫して「困っている人を救い、世の中を良くしていく」ことを自分の使命とし、大事にしています。絶対にうまくいかないと言われるような新しいアイデアや未知の領域であっても、長期的な視点と胆力を持って社会変革を仕掛けていくことが揺るぎない軸となっています。
「前例がない」は挑戦しない理由にならない
――今年2月、『世界は法律でできている 弁護士ドットコムの奮闘とこれから』(著者:元榮太一郎/上阪徹)を上梓されました。弁護士ドットコムの20年の歩みが語られた書籍とのこと、本書を通して、読者に最も伝えたいメッセージは何でしょうか。
起業経験も事業運営経験もなかった弁護士がいかにして仲間を集め、数々の困難を乗り越えて会社を成長させてきたのか、その実録がこれから様々な挑戦をする方の糧になればと願っています。経験がなくとも、赤字が8年続こうとも挑戦をやめず、「絶対に世の中のためになる」という信念を貫き通しました。
一つの強い思いに共感して仲間が集まったとき、そこにはとてつもないパワーが生まれます。「前例がない」は挑戦しない理由にはなりません。既存の枠組みや常識を超えて、自らの手で新たな未来を切り拓くためのアクションを生むきっかけになれば大変嬉しく思います。
――いま仕事やキャリアに悩んでいる人も多いと思います。これから挑戦する人に向けて、どんな言葉を伝えたいですか。
一度きりの人生、やった後悔よりやらない後悔の方が遥かに大きい。
どの年代においても、キャリアや働き方、対人関係、将来設計など人生に関する悩みが多いと聞きます。
ですが悩むということは決してネガティブなことではなく、現状に対する課題感や成長意欲、そして向上心の証です。
まずは、そうして悩みと向き合っている自分自身をしっかりと褒めてください。そのうえで、次の一歩を踏み出し、果敢に挑戦していただきたいと思います。
その挑戦の舞台として、ぜひ当社への挑戦(エントリー)もお待ちしています!











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