新年度を迎え、一人暮らしを始めたものの、世の中のいろんなものが値上がりしている中で「今の収入で生活していけるのか」と不安を感じている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、手取り20万円で一人暮らしをするケースを想定して、リアルな家計をシミュレーションしてみたいと思います。
手取り20万円の生活はどんなものなのか、どうすれば乗り切れるのかを考えていきます。

一人暮らしの家計内訳

まずは、一人暮らしの生活費がどのくらいかかるのか目安を知るために、総務省「家計調査・家計収支編」をもとに、単身世帯の1か月の支出を確認してみましょう。

なお、この調査は持ち家世帯の割合が高いため、民営借家の世帯データを参考にしつつ、都市部での生活をイメージして調整しています。

支出の合計は18万5,000円となり、手取り20万円の範囲内には収まっています。ただし、家賃は5万円の設定なので、都市部での一人暮らしでは現実的ではないかもしれません。参考として、首都圏のワンルーム・1K・1DKの家賃相場を示します。

東京23区で家賃5万円の物件を見つけるのは難しいですが、近隣の県であれば、条件次第ではぎりぎり探せる可能性があります。
食費が上昇すると家計は一気に厳しくなる

家賃に次いで家計に占める割合が高い「食費」は4万2,000円となっています。これを30日で割ると1日あたり1,400円、3食で考えると1食あたり約470円という計算になります。もちろん、実際には自炊と外食のバランスによって支出にはばらつきが出ますが、この金額だけを見ても余裕があるとは言えないでしょう。昨今の食料品の値上がりを踏まえると、今後さらに食費が増える可能性は高くなります。

食費が上振れすれば、手取り20万円の範囲内でやりくりするのは一段と難しくなってきます。


手取り20万円では貯蓄ができない?

前出の一人暮らしの家計内訳には、「貯蓄」の項目がありません。しかし、貯蓄がないと突発的な出費に対応できません。一般的には、生活防衛資金として3~6か月分の生活費を確保しておくことが望ましいとされています。

そのためには、少なくとも毎月1~2万円は貯蓄に回したいところです。ところが、改めて家計内訳を見直すと、家賃や水道光熱費、通信費といった固定費には削れる部分がないことがわかります。

見直しの余地があるのは、趣味・娯楽費や交際費といった変動費ですが、ここを大きく削ると、生活はどうしても味気ないものになりがちです。それでも貯蓄を確保するには、この部分を調整せざるを得ず、たとえば趣味・娯楽費を半分に抑えて、ようやく月1万円の貯金ができるかどうかという水準です。この点にこそ、手取り20万円で生活する厳しさが表れていると言えるでしょう。
手取り20万円の一人暮らしは「生活はできるが余裕はない」

以上を踏まえ、手取り20万円での一人暮らしの実態を整理すると、次のようになります。

東京23区に住むのは現実的に厳しい
食費がさらに上昇すると家計が成り立たなくなる可能性がある
突発的な出費に対応できない
貯蓄をするには趣味・娯楽費などを削る必要がある

このように、日々の生活は何とか維持できても、少しの支出増でバランスが崩れてしまう、非常にシビアな家計であることがわかります。
支出を削るだけでなく、収入を増やす視点を持とう

手取り20万円で生活するための対策としては、家賃の見直しや固定費の削減などが有効で、一定の効果も期待できます。しかし、安定して働ける環境にあるのであれば、支出を切り詰めることだけに注力するのではなく、収入を増やす視点を持つことも重要です。


収入を増やす方法としては、現在の仕事でスキルアップや資格取得をして昇給するほか、転職によって年収を上げる、副業で収入源を増やすといった方法が考えられます。

支出の削減にはどうしても限界がありますが、収入は工夫次第で伸ばせる余地があります。同じ労力をかけるのであれば、将来につながる「稼ぐ力」を高める方向に労力をかけたいものです。まずは無理のない範囲で、できることから少しずつ始めてみましょう。

石倉博子 いしくらひろこ ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。 この著者の記事一覧はこちら
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