OpenAIは6月4日(米国時間)、ChatGPTのメモリ機能へのより高性能でスケーラブルな新しいメモリ合成システム導入を発表した。「Dreaming」と呼ばれる手法を基盤に据えた第3世代のメモリシステムで、「メモリの陳腐化」「正確性」「拡張性」の課題に対処することを目的としている。
ChatGPTのメモリ機能は、ユーザーの好みや進行中のプロジェクト、制約条件などを保持し、将来の会話で共有済みの文脈を利用できるようにする機能である。会話のたびに同じ前提を説明し直す負担を減らす。
最初のメモリ機能は、2024年4月に「Saved memories(保存されたメモリ)」として導入された。ユーザーが「覚えておいて」といった明示的な指示を出すことで情報を保存し、その後の会話に引き継ぐ仕組みだった。この方式では会話中にトリガーとなる強い手がかりを要するうえ、保存された情報は時間の経過とともに古くなり、不正確または関連性の低い情報になる可能性があった。
2025年4月、OpenAIはDreamingの初期版「Dreaming V0」を導入した。Dreamingは、過去の会話履歴を参照しながら、バックグラウンドでChatGPTのメモリ状態を自動的に整理する手法である。これにより、ユーザーが明示的に記憶を指示しなくても、会話のなかで自然に現れる文脈を反映しやすくなった。DreamingはSaved memoriesを補完する形で、応答のパーソナライズやメモリの陳腐化の抑制に寄与してきたが、単独のメモリシステムとしては十分ではなかった。
今回導入された「Dreaming V3」は、より高度で計算効率の高いアーキテクチャへと進化した。OpenAIはメモリの評価軸として「有用な文脈の引き継ぎ」「ユーザーの好みや制約の遵守」「時間の経過に伴う記憶の更新」の3点を挙げている。
たとえば、過去の会話でユーザーの機材構成について話していれば、新しいチャットでもその情報を踏まえて、互換性のある製品や必要なアクセサリを提案できる。また、古い情報をそのまま残すのではなく、時間と状況の変化に応じて自動的に更新する。「7月にシンガポールへ行く」という旅行前のメモリは、旅行終了後には「2026年7月にシンガポールに行った」へと自動的に修正され、帰国後の回答はユーザーの拠点とタイムゾーンを前提とした内容へ切り替わる。従来のメモリでは、旅行前のメモリがそのまま残り、旅行後もChatGPTがユーザーをシンガポール滞在中と誤って扱う可能性があった。
管理機能も強化される。ユーザーは「Memory summary」ページから、ChatGPTがメモリで保持している情報の概要を確認できる。同ページでは、自分に関する情報の追加・更新のほか、ChatGPTが取り上げるべきトピックやそのタイミングを指示することもできる。
今回のアップデートでは、Dreamingの計算効率も改善され、OpenAIによると、無料ユーザー向けにDreamingを提供するために必要な計算量が約5分の1に削減された。今後数週間以内に無料ユーザーへのDreaming提供を開始し、PlusおよびProユーザー向けにはメモリ容量を拡大する。











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