サントリーグループは2026年6月4日、東京都港区にある「コラボレイティブセンター(以下、コラボセ)」の取り組み説明会、並びに現場見学会を実施した。「コラボセ」は障がいのある社員が、ほかの社員と同じオフィス環境で働きながら、同グループ各社の業務を担う部署である。
○特例子会社にしなかった理由
まず、サントリービジネスシステム株式会社 コラボレイティブセンター センター長の江口哲也氏が、「コラボセ」が設立された背景を紹介した。2010年以前も障がい者雇用には積極的だったが、当時は身体障がい者が中心だったと振り返る。ただ、2015年からは知的障がい者の雇用を開始。そして、2018年に知的障がい者の採用と活躍推進を本格化する目的で「コラボセ」を設立したと話す。
次に、「コラボセ」のコンセプトについて説明する。「コラボセ」はサントリービジネスシステム株式会社の一部署であるという。障がい者雇用のために特例子会社を設立する企業が少なくない中、そうしなかった理由として、「特例子会社は障がい者雇用の促進や安定を目的としており、支援体制が整いやすい一方で、独立した組織としてグループ各社との距離が生じやすいと言われています。『コラボセ』は当初より『グループ内に貢献する』という構想があったため、機能会社の一部署として他部署との業務上の関わりを多く持つ位置づけにしました」と語る。
また、今年7月から実施予定の「障がい者の法定雇用率引き上げ」と「支援策の強化」を話題に出し、その内容に触れながら、「ガイドラインに記されている能力の発揮や雇用の安定という観点は、まさに『コラボセ』が重視し、実践してきたことであり、手前みそながら先駆けとなった取り組みだったと思います」と口にし、「コラボセ」という取り組みへの自負をのぞかせた。
○「出張業務」も担当
サントリービジネスシステム株式会社 コラボレイティブセンター 部長代理の木村彩氏からは、「コラボセ」の活動と取り組みが語られた。設立当初は限られた部署からの定型業務が中心だったが、現在ではグループ18社から月間約600件の業務を受託。
多種多様な業務の中には「出張業務」もある。木村氏は「一般論ではありますが、知的障がい者は通常とは異なる環境下で臨機応変な対応を求められる業務が苦手なことが多いとされています。ただ、当社では本人の意向を踏まえつつ、他部署とサポート体制を作りながら、他拠点への出張も行っています」と話す。
また、「コラボセ」を軸としたさまざまな取り組みも紹介。コラボレイティブパートナー(同グループにおける知的障がいのある社員の呼び名)が1年の成果や、今後やってみたいことを発表する「成果発表会」には、社員や保護者、学校関係者などが参加するという。発表に向けた練習を通じて、本人の自信や成長につながっていると説明した。
続けて、社員が半日かけてコラボレイティブセンターの業務を体験する「コラボる体験」では、障がいに対する心理的ハードルを下げるだけでなく、社員同士のコミュニケーション促進にもつながっていると語った。
○「ありがとう」と言われることがやりがい
後半に実施された「コラボセ」内の見学会では、業務現場の見学に加え、コラボレイティブパートナーからの業務内容の説明も行われた。
宅配便の仕分け業務を担当している男性は、地下1階に届いた荷物を各部署ごとに仕分けし、各フロアへ配送すると話す。また、配送先ごとに色分けを行い、さらにはダブルチェック用のシールを貼るなど、ミス防止を徹底しているという。
新商品の案内資料を取引先へ送付する業務を担当している男性は、営業部門から届く送付先一覧をもとに、宛名印刷や資料の封入を行っていると説明。
在庫調整システムを使った入力業務を担当している男性は、入力ミスを防ぐためにチェックシートを使った指差し確認をするなど、作業時の工夫を口にした。入力ミスが起きると在庫数に誤りが生じるため、作業中の声かけは控えるなど、集中できる環境づくりが徹底されているそうだ。
最後に、社内向け弁当配送サービス「コラボDeli」を担当している男性は、時間になると食堂で弁当を受け取り、専用バッグへ詰めて配達を行うと語る。男性は「『ありがとう』と言われることがやりがいです。いろんな部署の人と知り合いになり、飲み会に行ったりしています」と笑顔を見せた。
2026年7月に障がい者雇用を巡る制度改正が施行されるが、「コラボレイティブセンター」の取り組み、さらにはその姿勢は、多くの企業のロールモデルになりそうだ。
望月悠木 フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki この著者の記事一覧はこちら











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