水原氏がいなくなったことは大谷翔平にとって「成長」のチャンスなのか(C)Getty Images

 大谷翔平の元通訳だった水原一平容疑者の賭博スキャンダルは世間に大きな衝撃を与えた。常に大谷の傍らでサポートし続けてきた同容疑者の姿は、日本のファンにとってこれまで「献身的」に映っていたに違いない。

しかし、今回の一連の事件によって、すべてが崩れ去っていった。

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 そして、現地で大谷を取材する米メディアの記者は、大谷と水原容疑者の関係性は取材する立場からすると“障壁”のように感じていたようだ。

 米メディア『FOX SPORTS』のディーシャ・トーサル記者は「ショウヘイ・オオタニは賭博騒動から、ドジャースとして、そして個人として、どう成長できるか?」というタイトルの記事を配信した。

 記事の中で同記者は、「(水原容疑者のいなくなった)空いたスペースは、オオタニが成長するチャンスであり、手を広げる機会であり、おそらく彼が自分の人生をよりコントロールできるようになるチャンスなのだ」と述べている。

 さらに、同記者が感じていたこととして「ミズハラがオオタニの通訳を務め、親友として振る舞っていた数年間は、ミズハラの支配力が強すぎたのだ」とし、「ミズハラは、オオタニとメディアとの間の最大の盾でもあったようだ」とした。

 「ミズハラが交代してからの数日間、記者たちはドジャースの新人(オオタニ)に簡単に接触できた。

ミズハラを経由して質問するよりも、記者たちはオオタニのすぐそばまで行き、話す時間はあるかと尋ねると、”もちろんです、何が必要ですか?”とだけ答えた」とある。

 これまでは水原容疑者が大谷の“盾”となり、メディアにとってはそれが“障壁”だった。大谷と記者たちとの間にあった壁は崩れたかのように思えたが、同記者によると「それも長くは続かなかった」とある。

 「オオタニと自由に話をしようとした記者たちは、ドジャース広報に止められた。またしても、オオタニに何かを聞くことが障害となり、誰がそのアクセスを制限しているのかは依然として不明である」と記してある。

 記事の中で「ドジャースがオオタニに野球だけに集中させようとしているのかもしれない」とあるが、結局のところ、オオタニがどこまでプライベートでいたいか、コントロールしたいかはオオタニ次第なのだ」とある。

 同記者は、大谷が「自分の内面や感情をチームメイトと分かち合うことがあるのだろうか?」と投げかけている。

 そして「チームメイトは、互いをよく理解し合うことで、強い絆で結ばれる傾向がある。ドジャースはオオタニの野球の才能を確かに理解しているが、選手やコーチが彼をより深く、より個人的なレベルでも知ることができれば、チームの長期的なケミストリーに役立つだろう。世界中にいる何百万人ものファンにオオタニの特徴をもっと知ってもらえば、オオタニにとってもプラスになるだろう」と伝えた。

 今回の記事はメディア側の立場で書かれている部分が大きいかもしれない。とはいえ、水原容疑者がいなくなった今、大谷がこれまでよりもチームメイトとコミュニケーションを取る姿や、メディアで発信する機会が徐々に増えてきており、それが大谷の魅力をさらに引き出している。

 今後もそういった姿が見られるのかどうか注目ではあるが、大谷がフィールドで十分にパフォーマンスを発揮でき、大谷自身にとってプラスになるのであれば問題ないだろう。ドジャースというチームでも大谷はエンゼルス時代と変わらずチームの中心選手であり、ファンを魅了し続けていくことは確かである。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]