「人生の幕を下ろした時にいただけるよう励みます」
現役引退した元マリナーズ外野手のイチローが国民栄誉賞の打診を辞退していたことが分かった。菅義偉官房長官が5日の会見で明かした。
代理人を通じて内々に打診したところ「人生の幕を下ろした時にいただけるよう励みます」との回答があったという。
イチローの国民栄誉賞辞退は3度目。これまで2001、2004年の2度、やはり内々に授賞の打診があった。
2001年はマリナーズに移籍したメジャー元年。前例のない日本人野手として挑戦し、新人王、リーグMVP、最多安打、首位打者、盗塁王とタイトルを総なめにした。
2004年は選手個人として最高の輝きを放ったシーズンだった。
国民栄誉賞は1977年に誕生した。王貞治が、ハンク・アーロンを抜き本塁打の世界記録を樹立。当時の「内閣総理大臣顕彰」においてプロスポーツ選手は対象外であったため、王を称えるための新たな賞として制定された。
その目的は「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったものについて、その栄誉を称えること」と規定されている。そして誕生の経緯から、スポーツにおいて大きな功績を残した選手、団体への授与が目立つ。
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球界で受賞した人、これまで辞退した人
球界では第1号の王に続き、衣笠祥雄、長嶋茂雄、松井秀喜と計4人が受賞している。
一方で、イチローのように辞退した著名人も存在する。イチローを含めて3人が、過去に受賞を辞退した。
最も有名なのが、世界の盗塁王・福本豊だ。1983年にルー・ブロックを抜き、939盗塁の世界記録を樹立。当時の中曽根康弘内閣から打診されたが、これを固辞した。
「そんなもんもらったら、立ちションベンもできんようになるがな」
福本の辞退の言葉は、今でも名言として語り継がれている。当時の福本は飲酒、喫煙、麻雀とたしなみ、賞に対する敬意が「恐れ多い」として口を突いたとされている。
もう一人が作曲家の古関裕而。軍歌のみならず、スポーツ界に多数の名曲を残した。早稲田大応援歌「紺碧の空」や、夏の甲子園大会歌「栄冠は君に輝く」。プロ野球でも阪神の「六甲おろし」、巨人の「闘魂込めて」などなど。
没後に授賞が検討されたが、遺族がそれを固辞した。
なお古関をモデルとした主人公を描くテレビドラマ「ドラマ」が、2020年4月からNHKの朝の連続テレビ小説で放映を予定されている。
イチローも、福本も、古関も、辞退理由も方法も3者三様。ただ、スポーツ史にとどまらず、社会に大きな足跡を残したことだけは間違いがない。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]