国内フリーエージェント(FA)市場の目玉とされたヤクルト・山田哲人内野手の残留が19日、球団から正式に発表された。山田は「正直に今までで一番悩みましたが、FA権を行使せずに残留することにしました」とコメントした。

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 複数の報道によると、7年もの長期契約に合意したという。これは日本人選手が国内球団と結んだ契約では最長タイとなる。

 過去に7年契約を結んだ選手は3人。松中信彦がソフトバンクと2006~2012年。則本昂大が楽天と2019~2025年。柳田悠岐がソフトバンクと2020~2026年の7年契約を結んでいる。


 契約期間は球団側からしてみれば、それだけその選手を必要としている誠意の表れでもある。一方で1年1年が勝負であるはずのプロの世界で、それほどの長期契約は気の緩みやモチベーションの低下を生みかねない危険性もはらんでいる。

 松中は2006年1月に7年総額45億円とされる大型契約を結んだ。2004年には平成唯一の打撃3冠王を獲得。2005年も本塁打と打点の2冠王に輝いていた。

 だが、この長期契約を契機としたかのように、成績は年々下降線をたどっていく。


 2006年は打率・324で2年ぶりの首位打者となったものの、本塁打(46→19)と打点(121→76)は約半減。2007年も打率・266、15本塁打、68打点と期待値から比べれば低調な成績に終わった。2008年は打率・290、25本塁打、92打点。2009年は打率・279、23本塁打、80打点。2010年以降は出場100試合を超えることはなく、2015年限りで引退した。

 則本は2019年の開幕前に、夢であったメジャー挑戦を封印し、7年契約を結んでいたことが明らかになった。

3月に右肘のクリーニング手術を受けた影響が大きく、12試合で5勝5敗、防御率2・78という成績。今季は18試合で5勝7敗、防御率3・96と不本意な数字に終わった。

 こちらは手術の影響も汲んだ上での長期契約。その真価が問われるのは来年以降の数字次第となってくるだろう。

 柳田は長期契約1年目の今季、MVPの最有力候補に挙がる活躍でリーグ優勝に牽引した。146安打で最多安打のタイトルを獲り、打率・342(リーグ2位)、29本塁打(同3位)、86打点(同3位)と堂々たる成績。

こちらも噂されていた将来のメジャー挑戦を封印しての、生涯契約ともいえる契約内容。来年以降も変わらぬ数字を残し続ければ、球団にも選手にもウインウインの契約といえる。

 7年という期間の中には、当然故障もあり、調子の波もあり、大スランプさえ起こり得る。7年間、という加齢の影響も確実に訪れる。松中のケースは長期契約の難しさがよく表れているが、実は日本球界にはこの3人を上回る最長契約が存在していた。

 最長契約記録の持ち主は、1996年に巨人に入団した韓国出身の趙成珉投手。

高麗大から8年契約で入団した。2年目の1997年に1軍デビューし11セーブ。1998年は先発ローテーション入りし7勝を挙げた。

 だが、この年のオールスターで右肘を故障。以降は故障に苦しみ1軍に定着はできず。2002年には手術が必要なまでに悪化した。

手術すれば8年目となる2003年シーズンは棒に振るため、契約を1年残しながら2002年限りで退団。その後は韓国プロ野球入りしたが活躍はできず、2007年限りで引退。事業に失敗し、2013年には自殺という悲しすぎる最後を迎えた。

 歴史を振り返ってみても、長期契約には様々なリスクや難しさがつきまとう。山田は今季、上半身のコンディション不良により欠場が続いた時期もあり、94試合の出場で85安打、打率・254、12本塁打、52打点、8盗塁と寂しい数字に終わった。7年契約という重い看板を背負う以上、生半可な気持ちでは周囲からの期待や重圧に応えることはできない。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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