今年3月、自身のSNSで大学を卒業したことを発表した上白石萌歌。これまでも映画、ドラマ、舞台と活躍を続けていた上白石だが、今年は1月期に『警視庁アウトサイダー』(テレビ朝日)、4月期に『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』(TBS)、そして10月期から『パリピ孔明』(フジテレビ系/毎週水曜22時)と連続ドラマでヒロインを務める。

特に『パリピ孔明』では、人生初ブリーチに挑戦し、シンガー・ソングライターの月見英子に挑む。「だんだん自分の中のパリピ濃度が上がってきました」と笑顔を見せた上白石が、大学を卒業し“社会人”となったことで変化したことを語った。

【写真】人生初ブリーチで雰囲気激変! 上白石萌歌、撮り下ろしショット

■人生初ブリーチで「血中パリピ濃度が上がりました」

 四葉夕ト(原作)、小川亮(漫画)による同名漫画を実写化した連続ドラマ『パリピ孔明』。上白石は、中国三国時代から突如、現代の渋谷に転生してしまった軍師・諸葛孔明(向井理)に導かれ、ライブハウス「BBラウンジ」でアルバイトをしながら歌手という目標に向かって突き進む女性・英子を演じる。

 上白石は英子というキャラクターについて「すごく自分の感情に正直で、楽しいときはすごく楽しい顔をするし、不安なときはちゃんと不安だという人間らしい女の子。漫画の英子を見ても、とても鮮やかでかわいい女の子で、まさにパリピ」と解釈を述べると、「私の中のパリピ濃度って本当にすごく低いので」と苦笑いを浮かべる。

 公開された英子のビジュアルは金髪で活動的。上白石は「これまでの私のイメージとは違いますよね」とはにかみ、「私はこれまでの人生でブリーチをしたことがなかったのですが、こんな風に役に近づくために髪を染めてみると、一気に私の中の血中パリピ濃度が上がったような気がして、役を自分の中に取り込めたような感じがします。お芝居も今までにないものをしっかり取り込んでいきたいです」と意気込んだ。

 ビジュアルはまったく違うが、内面的には英子に共感できる部分が多かったという上白石。「音楽を本当に愛していることや、歌うことに憧れているけれど、何度もくじけて楽しさも苦しさも知っていることなど、すごく自分と近しいところがある子だなと思いました。そういった部分は大切に演じていきたいです」。


■すごく高い壁をたくさん与えてもらっている

 劇中、英子は歌唱シーンを披露する。上白石自身もアーティストとして活躍しているが、「普段活動させていただいているときの声質と大きくは変えられないとは思うのですが、なるべく英子のトーンを大切に、どんなキーでどんな発声をするのか……ということは、探っています」と英子らしさを模索している。「今回はいろいろなジャンルの曲を歌っています。普段の音楽活動では結構落ち着いたトーンの曲が多いので、今まで歌ってこなかったような曲も多く、大きな挑戦です」。

 歌手として、俳優として活動している上白石だが「歌いながらお芝居をするというのは、とても難しい」としみじみ語ると、「最初英子の歌は誰からも聞いてもらえないのですが、だんだんお客さんが増えていくんです。そのとき、英子にも変化が見えてくるのですが、どういう風に英子のなかで芽生えた気持ちを歌いながら表現するのか、細かく監督やステージングのチームと話し合いながら決めました」と撮影でのエピソードを披露する。

 本作で英子を演じたことで「すごく高い壁をたくさん与えてもらい、毎日少しずつ乗り越えられている」と充実した日々を送っていることを強調すると、「特に歌唱に関しては、本当にいろいろな挑戦をさせていただき、今まで開かれていなかったような扉を開けていただいているなと。挑戦することの大切さを実感しています」と語った。

■大学を卒業し、病院の問診票の職業欄に困る「フリーター……かな」

 今年3月大学を卒業したことを自身のSNSで発表した上白石。「卒業できたことはとてもうれしくて、達成感もありました」とすがすがしい表情を見せるが、一方で「学生証を失ってしまう怖さもありました。これまで10年近く、学業と並行していたお仕事から、役者一本になりますから。学生という肩書きがなくなるのは、不安でした」と胸の内を明かす。


 卒業したことを強く感じたのが、病院等で書く問診票。「これまで職業の欄には『学生』と書いていたのですが、卒業してしまってなんて書けばいいのだろうと。フリーターなのかな……とかちょっと困りました(笑)」。

 そんなことを言いつつも、大きな気持ちの変化もあったという。「より現場で話し合うようになったというか……。10代のころは『こうしてください』と言われたことに応えようという気持ちだったのですが、今はどうしたら作品が良くなるのか……と自分なりに考えて、監督さんやスタッフさんに『こう思っているのですが、どうですかね?』と積極的に話すように心がけています」。

 『パリピ孔明』の現場でも、ライブシーンを含め、積極的に意見交換をしているという上白石。「この作品は一見煌びやかで鮮やかな作品に見えますが、人が夢を持つ美しさや熱意をとても丁寧に描いている作品なので、多くの世代の人に響くと思います。音楽の力も実感できる作品です」とアピールした。(取材・文:磯部正和 写真:高野広美)
 
 ドラマ『パリピ孔明』は、フジテレビ系にて毎週水曜22時放送。

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