おもちゃ、魚、頭の中…さまざまな“もしもの世界”を描いてきた、ディズニー&ピクサーが次に仕掛けるのは、“もふもふ”の動物ワンダーランド! 大ヒット公開中の映画『私がビーバーになる時』は、動物を愛する大学生のメイベルが、祖母との思い出の森を守るべく、極秘テクノロジーを使ってビーバーとなって動物の世界から“驚きの作戦”を遂行するというストーリーだ。メイベルは、動物の世界で“優しすぎる”王様ビーバーのキング・ジョージに出会い、“王の手”ならぬ“王の脚”として冒険を共にする。

日本版声優は、メイベル役を芳根京子、キング・ジョージ役を小手伸也が担当。今回クランクイン!は芳根と小手にインタビューを実施し、興行収入20億円、観客動員150万人を突破した大ヒット中の本作について語ってもらった。

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■「普段と違う声」で挑んだ役作り

 オーディションを経て、見事それぞれの役を射止めた二人。芳根も小手も数々のオーディションを経験してきた過去があり、酸いも甘いもかみ分けてきたからこそ、自信満々で合否を待つという状況ではなかったという。

 10代からさまざまなオーディションを受けてきた芳根は「手応えは全然なくて、最終的にはご縁があるかどうかだと思っているので、『やれることはやった、あとは祈るだけ』という感じでした」と合否までの時間を振り返る。

 同じく小手も合否は気にせず、受けたこと自体を楽しんだとのこと。「オーディションは基本的に落ちるものだと思っていて、声優はさらに受かるのが難しいと知っているので、結果は置いといて、まずはディズニー&ピクサーのオーディションを受けるという社会勉強だと思って、家族に誇れるように全力でやろうという気持ちでした」と語る。

 芳根が合格の知らせを聞いたのは、イタリアのヴェネチアで船に乗る順番待ちをしている時だったという。「列の後ろにいたマネージャーさんから結果を聞きまして、『え!? あ!? やった~!』と思わず声が出てしまいました。ヴェネチアであんなに大きい声で『やった~』と叫んだ日本人は、わたしくらいじゃないでしょうか(笑)」と笑う。

 一方で小手は、合格が伝えられたのが「コンビニの駐車場」だったと言い、「なにこの格差(笑)」と苦笑い。事務所の人たちや家族ら周囲の人から祝福されたそうだが、「周りの祝福が大きかっただけに、逆にプレッシャーというか。
恥のないように声優を務めないとなと身が引き締まりました」と大役の重みを感じたという。

 そんな二人の役作りで共通しているのが「普段と違う声」で芝居をしていること。メイベルは、「森を守りたい」という強い思いを抱いているが、熱中すると周囲の状況が見えなくなる部分があり、感情の起伏が激しいキャラクターだ。

 芳根が演じる上で大切にしたのは、メイベルを愛されるキャラクターにすること。

■ビーバーの“毛”にも注目して

 「メイベルは、おばあちゃんとの思い出の森と動物への強い愛を常に持っていますが、突っ走りすぎると自己中に見えてしまう側面もあったので、なぜここまで彼女が情熱的で猪突猛進なのか共感してもらえるキャラクターでないといけないと思い、とにかく愛されてほしいという願いを込めて役作りをしました。ただ、セリフの量が多く、『わ~!』と叫ぶようにしゃべる場面もあったので、普段のわたしの声だとキャンキャンと聞こえてしまうのではと怖くて。監督と相談し、メイベルの勇ましさが表現できたらいいなと思い、普段よりもお腹から声を出すことを意識しました」と明かす。

 今回の芝居のトーンにたどり着いたのは、オーディションの時だったという。「オーディションの時に、さまざまなシーンに挑戦させていただいたのですが、声の幅を探りたいとリクエストを受けましたので、『わたし、こういう声もいけます!』とアピールする意味でも、少し低めの声でお芝居しました。それで合格したので、収録の際にも低めの声を提案すると、『すごくいいと思います』とお返事をいただきまして、今の声の高さに落ち着きました」と試行錯誤の過程をたどる。

 一方で、小手は普段よりも高い声で芝居を作っていったそう。「オーディションの時に地の声で演じてみたのですが、『威厳がありすぎます』と言われまして。
元々キング・ジョージにフォルムが似ていると言われていたので(笑)、そんなに役作りはしなくてもいいのかなと思っていたのですが、画に合わせて、頬を少し上げ、歯を少しだけ出したら自然にしゃべれるだろうなと思いまして、顔から作っていきました。キャラクターが生き生きと話す姿に合わせてしゃべろうとすると、普段より表情筋を動かさなければいけなくて、口をカクカクと動かしながらお芝居しました」と振り返る。

 演じるキング・ジョージは“優しすぎる”王様ビーバーで、ビーバーら哺乳類から厚い信頼を受ける優しさと、王にふさわしい先見の明と説得力を持ち合わせているキャラクターだ。

 小手はキング・ジョージに共感できる部分があったそうで、キング・ジョージを「王様然としていない王様で、調和やそれぞれの立場を重んじたり、ほかの動物の話をよく聞くキャラクター」だと分析。「その点はすごく共感できますし、僕自身も割とそういうタイプだったので、特に作り込まず、顔をキング・ジョージにすることを主に意識して、動物ならではの視点を提示したり、彼の意志が伝わったりするようなお芝居を目指しました」と役作りの裏側を明かす。

 春風に乗ってまだまだ日本を席巻中の“ビーバー旋風”。そんな本作の魅力を聞くと「芯がしっかりしている作品」「驚いて笑って、グッと来るものがある」と太鼓判を押す。

 「これまでのディズニー&ピクサーらしからぬハチャメチャ展開な物語なのですが、結構芯がしっかりしている作品でもあるんです。それぞれの立場に思いや正義があり、それらがぶつかり合い、いろんな視点から物語が語られています。ハチャメチャで笑いもありますが、人間と動物の友情といった感動するポイントもすごく凝縮されていて、老若男女問わず家族みんなで楽しめるような映画でした」と自信をのぞかせる。

 一方で芳根は、ビーバーの“毛”にも注目してほしいとのこと。「もしも動物の世界に入れたら…という夢が詰まった作品ですが、動物の世界は人間の常識が通用せず、ハチャメチャでとんでもない世界なんです。
驚いて笑って、グッと来るものがあると思いますし、なによりビーバーたちがかわいい。もう映像からモフモフ感が伝わってきます。水に濡れるとペタペタになる毛も見どころの一つなので、ぜひ大きいスクリーンで見ていただき、この春はモフモフしてほしいなと思っています」。(取材・文:阿部桜子 写真:松林満美)

 映画『私がビーバーになる時』は公開中。

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