唐十郎×蜷川幸雄舞台『盲導犬-澁澤龍彦「犬狼都市」より-』のキャストとスタッフが、5日、都内で取材に応じ、演出家の蜷川幸雄と出演者の古田新太宮沢りえ小出恵介が参加した。

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 『盲導犬-澁澤龍彦「犬狼都市」より-』は、蜷川が初めて演出した唐十郎作品。
蜷川にとっても、記念的作品だ。政治も文化も暑かった時代、その中心だった街・新宿で、反抗的な盲導犬ファキイルを探す盲人の影破里夫(古田)、彼と奇妙な絆で結ばれたフーテン少年(小出)、コインロッカーに恋人の思い出を封印された奥尻銀杏(宮沢)が出会う。

 撮影のため公演の一部を上演した後、質問に応じた4人。書き下ろされた1973年の初演、1989年の再演に続き、24年ぶりに3度めの上演となる蜷川は、「70年代の初頭の作品には、詩的な言語と一緒に色々な仕掛けがあってお客さんをびっくりさせる魅力があるので、それを見てもらおうと思います。いまのい方より、派手な演劇が見られると思います。アングラの魅力は、ドロドロしているけれど美しく、セクシーで清潔、全部入っていて一番良い。僕も客席で楽しんで見ています」と、自信満々。

 最近は、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』の太巻役など舞台以外での活躍も目立つ古田にとって、本作は「愛の乞食」以来16年ぶりの唐戯曲。「せっかく頂いた破里夫の役ですが、不服従がテーマになっていまして、それに恥じないように服従していきたいなと(笑)。もらったセリフを大切にお客さんに届けて行きたいなと思っています。できれば、今の若いお芝居が好きな人達に60年代、70年代の演劇の凄さを体感していただきたいなと思うので、ぜひ劇場にきて下さい!」と意気込みを語る。

 5月に体調不良で『おのれナポレオン』上演中に降板した天海祐希の代役を見事に果たし、改めて女魂を見せた宮沢は、「毎回初日にはドキドキしますが、今回はドキドキに加えてザワザワしています。
すごく興奮が高まっているなという感じがしますし、とても憧れている60年代、70年代のアンダーグラウンドの世界に少しでも近づきたい、どっぷり浸かってしまいたいという気持ちなので、明日から全身アングラに染まります。古田さんから、日本最後のアングラ女優というお褒めの言葉を頂いたので(笑)、その言葉に恥じないような狂気と愛と切なさを吐き出していきたいなと思います」とPR。

 近年は舞台での活動も増えつつある小出は、「古田さんにレポートを提出します。とりあえず、お前は(優良可の)良を取れと言われたので、良を取りに行きます」と語ると、古田からは「今のところ、まだ可です」というダメ出しが。隣の蜷川からも、「さっきも、駄目なところが直っていなかったですね」と厳しいひとこと。大先輩2人に囲まれた小出は、「それぞれ言うことが違うんですよ。どうしたら良いんでしょうかね? 頑張ります! 怪物のような先輩に囲まれてもうヘトヘトです」と、嬉しそうに答えた。

 『盲導犬-澁澤龍彦「犬狼都市」より-』は、東京・Bunkamuraシアターコクーンにて7月6日~28日、大阪・シアターBRAVAにて8月3日~11日までに上演。
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