TBSで企業ヨイショ番組が大増殖中! ゴールデンはもはや提灯...の画像はこちら >>

 その昔、「トイレはCM中に」と言って干されたタレントがいたが、それをあてはめれば、ずっとトイレに行っていないといけないことになるのかもしれない。

 TBSのゴールデンタイムで、異常とも言える事態が発生している。

企業コラボ番組がとにかく多いのだ。大ヒット商品のブームの背景に迫ったり、ロングセラー商品の人気の秘密を探る企画は視聴者の関心も高く、番組で取り上げるのは不自然ではないが、あまりにもそれが多すぎる。キー局関係者のYさんはこう語る。

「週末放送の『ジョブチューン』と『坂上&指原のつぶれない店』は、完全に企業宣伝番組と化していますし、月曜の『クイズ!THE違和感』、火曜の『この差って何ですか?』と『教えてもらう前と後』、水曜の『世界くらべてみたら』(すべてTBS)も、よく企業コラボ企画をやっていますね。ほかのテレビ局にも似たような企画や番組はありますが、確かにTBSは突出して多いです」(Yさん)

 Yさんが挙げた番組を調べてみると、テレビ欄に記された放送内容は、

「セブンスイーツを超一流のスイーツ職人がジャッジ!雪辱のリベンジマッチ!」
「超一流ピザ職人がジャッジ!ピザーラで食べるべきメニューは!?」(『ジョブチューン』)

「絶好調!ドミノピザ&大人気!3COINSを徹底調査」
「全国から募集した201品から成城石井で販売される商品が今夜ついに決定」(『坂上指原のつぶれない店』)

 といった具合。そのほか、ここ2~3か月間だけでも

『クイズTHE違和感』=安楽亭、もうやんカレー、すしざんまい
『この差って何ですか』=カップヌードル、ペヤング
『教えてもらう前と後』=無印良品、セリア(100円ショップ)、オーケー(スーパー)
『世界くらべてみたら』=セブンイレブン、ピザハット、ペヤング、サッポロ一番、マクドナルド

 と、各番組が大企業や人気商品をピックアップしている。

なぜこういった事態が起きるのか?

「一言で言えば、“お金がかからないから”です。事実上CMなのに、それを通常の番組のように放送し、特定の企業や商品を紹介する“ステマ(ステルス・マーケティング)”は放送法に抵触します。だからこれらの番組も、企業から金はもらっていないはずです。

 ただ、そうやってテレビ局が企業に恩を売っておけば、CM出稿が期待できますし、最近ではPR会社などを挟み、“取材協力費”という形で企業が金を払うやり方もある。これは“グレー”ではありますが“黒”ではない。企業はゴールデンタイムに商品を宣伝でき、テレビ局は番組制作費を削れるので、まさにWin-Winです。

広告会社内には番組に取り上げてもらう“料金表”も存在するとか。TBSが特に多いのは、局としてこの手法にGOサインが出ているということでしょう」(大手広告代理店関係者)

 マツコ・デラックスといえば、辛口で知られる超人気タレントだが、彼(彼女)の番組も例外ではない。あるジャンルの熱狂的なマニアを紹介する人気番組『マツコの知らない世界』に協力したことのあるグルメライターはこう明かす。

「私は、中華系のある料理の特集の時に番組に出演しましたが、スタッフから『冷凍食品も紹介して欲しい』と言われました。仕方がないので、ほとんど食べたことがなかった冷凍食品を数十種類食べ、ランキングにして紹介しましたが、まったく思い入れのない物を“マニア代表”として紹介するのは心苦しかったです」(グルメライター)

 ただ、同情すべき点もある。他局でも多かれ少なかれ、似たような番組はある。

「『いきなり!黄金伝説。』(テレビ朝日。2016年終了)の全メニュー制覇企画は、企業コラボ番組の教科書のような内容でしたし、現在放送中の『これって私だけ?』(テレビ朝日)や『ウワサのお客さま』(フジテレビ)も、やっていることは同じ。TBSだけを槍玉にあげるのはフェアじゃないかもしれませんね」(前出・Yさん)

 情報番組だと思って見ていたら実はCMのようなものだったとは、視聴者を小バカにした話だが、そのようなやり方がテレビ離れを招いていることに、当事者たちは気づいているのだろうか。