『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)にBLファンたちが騒ついている。
12月15日と22日の2週にわたって放送されたのが、「もしも女子だったらこの人と付き合いたい!」という企画だった。
9年前に同じ企画に参加したロンブー亮は冒頭で「なんやねんこの企画ってみんな思てるでしょ? 不思議と選ばれるとうれしいから!」とコメントしたが、亮の言う通り白熱の展開を見せることになった。
「ひとりひとりロングヘアのカツラをかぶって女性になりきり、意中の相手を発表していくんですが、だんだんと票が集まるにつれ、人気が集中するメンバーは上位同士でライバル意識を燃やし、まったく票が集まらないメンバーは“1票でもほしい!”と必死になっていく様が面白かった。2週連続で放送したのはよっぽど企画が盛り上がったからでしょう。女性でなく男性に選ばれるというのはまた別の高揚感があったんじゃないかと、芸人たちのリアクションを見て感じましたね」(お笑い雑誌編集者)
「セックスが良さそう」「顔が好み」といった、ネタっぽい理由をあげて笑いをとる場面もあったが、例えばりんたろーは向井を1位に選んだ理由を「僕が仕事ない時に劇場で人気だったのがパンサーさんだった。
つまり“女性のてい”を度外視し、一芸人として仕事現場で実際に見た相手の姿や、仕事への取り組み方に“男惚れ”して票を入れている側面もあり、そこにブロマンスとしての見所があったのだ。
特に盛り上がったのが向井、兼近、岡部が三角関係のようなドラマを繰り広げた場面だ。
1週目終了時点で兼近(山内、森田、シュウペイの3票)と向井(りんたろー、後藤、小宮、岡部の4票)に1位票が集中。そんな大人気の2人が一体誰を選ぶのかに注目が集まった。
先に発表した兼近は岡部を1位に選出。
さらに兼近が「ずっと見てましたから。岡部さんがロケ弁食べてそのまま寝ちゃってる姿とか、岡部さんがこぼしたご飯粒を拾ったりもしましたし」と回想すると、岡部もたまらず「俺、なにしてんだ!」と頭を抱えてしまった。
波乱は続く。
MCの淳が「どうした!?」と聞くと、岡部は「僕の中で兼近がどんどん大きくなって……」と告白。岡部は兼近に1位指名されたことで「こんな近くに大事な人がいたんだ」と気づいたと告げると、スタジオは爆笑の渦に包まれた。
この一連のやりとりに、BLマンガに詳しいライターはこう語る。
「すれ違いからの両思いって恋愛マンガの王道ですけど、だからこそ良い! 王道こそ美しい! 今年見たラブストーリーの中で一番胸を打たれましたね! ロンハーにはギャラクシーBL賞を差し上げたいくらいです! あんなに人気者のかねちが片思いになってしまう展開も熱かったし、かねちの存在に気づいた瞬間の岡部の表情も抜群で、各々の思いがすれ違いながら最終的には第7世代の2人が通じ合うオチも見事だった。“大事な人は近くにいる”というメッセージ性もよかったです。
また、向井が岡部を選んだ理由が『ハナコの中で岡部くんが一番売れてる。
前出の雑誌編集者は「番組の構成もよくできていた」と褒める。
「2週に分けたことで、連続ドラマを見るような高揚感もありました。得票数の多い向井と兼近の発表を第2週に持ってくるのは当然ですが、岡部の心変わりについてはどこまで台本だったのか……もし岡部が咄嗟に『こっちのほうが面白くなる』と判断したのだったら、大したものですよね。朴訥としたキャラクターがフリになっていて、観ている人が『岡部ならたしかにこの場面でこう言いそう』と思うじゃないですか」(前出・雑誌編集者)
ただし、前出のBLに詳しいライターはひとつ注文をつける。
「BLとしても面白かったし、芸人同士が互いをどう評価しているかが浮き彫りになるブロマンスとしても完璧だったと思う。ただ、かつらをかぶったり、なりきって女性っぽくしゃべる芸人に対し『オネエじゃん』みたいないじり方はもうナシにしてほしい。 “オネエ”って文脈によっては揶揄や侮蔑の意味合いになるし、そんな風に茶化さなくてもストレートに面白かったですから」
BLマンガ好きも唸るドラマチックな展開を見せた「ロンハー」。ここでは書ききれなかったが、ほかにも名シーンが満載だったことを最後に記しておきたい。「TELASA」や「TVer」などでは現在見逃し配信中なので、熱い“ラブストーリー”を味わいたい人はぜひ見てほしいところだ。