稲垣吾郎

 ジャニーズ(現SMILE-UP.)の性加害問題を巡り、テレビ各局が“メディアの沈黙”について自己検証番組を放映し始めているなか、この内容に不満を持ったのが弁護士の紀藤正樹氏。10月27日に更新したX(旧ツイッター)にて、「ジャニーズ問題を自己検証するテレビ局が出てきたが、抽象的に忖度/圧力とするばかり」と指摘したうえで、「具体的にたとえば2001年8月24日の元SMAP稲垣吾郎氏の逮捕の際に同氏を『容疑者』とせず『稲垣吾郎メンバー』としたテレビ局各局はなぜ言い換えたのか等具体的な事案こそ検証すべきです」と記した。

 稲垣は当時、公務執行妨害と道交法違反の疑いで現行犯逮捕。駐車違反中に女性警察官から免許証の提示を求められて急発進した際、車体が接触し全治5日の怪我を負わせていた。ベテランの芸能記者が述懐する。

「稲垣逮捕の一報が入ると、人気番組『SMAP×SMAP』を抱えるフジテレビの号令で、在京キー局の編成トップが集まり、対策会議が開かれました。会議の議題は報道番組における稲垣の呼称。『稲垣容疑者』ではイメージダウンになるとして『稲垣メンバー』に民放全局で統一させるという、前代未聞の自主規制が敷かれたのです。

当時、テレビ朝日の『やじうまワイド』月曜コメンテーターだった梨元勝さんは、『稲垣容疑者のニュースに関しては一切評論しないように』とスタッフに要請されて激怒。出演を拒否するという一幕も。新聞や雑誌などの活字媒体は、ほぼ全てが『容疑者』を用いていただけに、ジャニーズのテレビ支配が浮き彫りになる事件でした」

 また、この顛末については元フジテレビで現在はフリーアナウンサー長谷川豊も2018年のブログにて、その内幕を綴っていた。

「長谷川によれば、逮捕直後には『容疑者』と呼んでいたものの、当時、絶大な力を持っていたSMAPのマネジャーのI女史が激怒。芸能界の有力者たちの協力を仰ぎながら圧力をかけてきて、『もうSMAPを「SMAP×SMAP」に出させない!』と、報道に介入したことを明かしています。現場のアナウンサーが『さん』づけを提案すると、今度は報道局が人気芸能人だけを特別扱いすることに激怒。

結局、超法規的措置でテレビ局の上層部の会議室で『メンバー』に決まったと振り返っています」(芸能ライター)

 10月21日に放送されたフジテレビの検証番組では『SMAP×SMAP』での生謝罪も完全スルー。“SMAPタブー”のトラウマは払しょくされていないようだ。