北朝鮮で、兵役対象者の確保をめぐる当局の動きが強まっている。背景には、ロシアへの派兵をめぐる住民の恐怖心があるとみられる。
RFAによれば、北朝鮮当局は最近、徴兵対象者の視力基準を引き下げた。これまでは一定以上の視力がなければ入隊できなかったが、現在は眼鏡を使用していても徴兵対象とされるケースが増えているという。また、従来なら身体検査で不合格になっていた低身長者や健康状態の良くない若者まで軍に入れようとする動きも出ているとのことだ。
北朝鮮では近年、慢性的な兵力不足が指摘されていた。徴兵逃れや入隊忌避の動きは以前から存在したが、最近は「ロシアに送られて命を落とすのではないか」という不安が若者や親世代に広がっているという。
北朝鮮軍は世界有数の兵力規模を維持しているとされるが、長期兵役と過酷な軍生活への不満は根強い。市場経済化の進展で、「軍に入るより商売をしたい」と考える若者も増えているとされる。
そこへ加わったのがロシア派兵問題だ。北朝鮮はクルスク州で戦死した兵士を「祖国の英雄」として宣伝に利用している。国営メディアはロシアとの「血盟」を強調し、参戦兵士の忠誠や犠牲精神を体制宣伝に組み込んでいる。
しかし、その宣伝は裏を返せば、「実際に戦死者が出ている」という現実を国内に強く印象づける結果にもなった。
北朝鮮にとって、ロシアとの軍事協力深化は様々な見返りが期待できる一方、若年層の動揺という新たな代償も生んでいる格好だ。
金正恩総書記にとって軍の規模維持は体制の根幹に関わる問題だ。韓国軍や在韓米軍との軍事対峙を続ける中、兵力低下は避けたい。だからこそ当局は、視力基準まで緩和してでも兵員確保を急いでいる可能性がある。
ただ、質を犠牲にした人員補充は軍の戦闘力低下にも直結する。ロシア派兵が生み出した「恐怖」は、北朝鮮軍そのものを静かにむしばみ始めている。








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