普段、あまり目にすることのない数字やデータに光を当てて多角的に分析、ビジネスパーソンにとっておきの「お役立ち情報」をご紹介する『ダイヤモンドDATAラボ』。今回は、昨年6月に反響をいただいた、独自試算「40歳年収が高い企業トップ1000社ランキング」の最新版を大公開します。

(週刊ダイヤモンド編集部 鈴木崇久)

年収2276万円で2年連続のトップ
M&Aアドバイザリー会社GCA

 政府が、デフレ脱却に向けて企業に対して賃上げを迫る「官製春闘」と呼ばれる状況が、今年で5年目を迎えました。さらに今年は、安倍晋三首相が経済界に対して「3%」という具体的な水準を示して賃上げを要求するなど、いつもにも増して異例の展開でした。しかし、ベースアップを約束した企業もあれば、賞与で応えた企業もあるなどまだら模様となり、全体としては3%賃上げとはならなかったようです。

 そこで今回は、昨年6月に公開して反響をいただいた、独自試算「40歳年収が高い企業トップ1000社ランキング」の最新版をお届けしたいと思います。東京証券取引所第1部上場企業を対象に、40歳時点の推計年収を比較しました。

 では、早速、上位から見ていきましょう。

 第1位は、昨年に続いて今年もトップに輝いたGCA(2153.2万円)でした。GCAは、M&A(合併・買収)の助言を行う独立系専業会社。日本企業が関わるM&Aにおいて、アドバイザーとしての実績で十指に入る実力の持ち主です。世界10ヵ国に15拠点を置くグローバル企業でもあります。

 M&Aを手掛ける企業では、なんと3位にも日本M&Aセンター(1441.4万円)がランクインしています。こちらは中小企業を主な顧客とするM&A仲介会社ですが、中小企業については経営者の高齢化に伴う廃業危機が国家的な喫緊の課題となっており、ここ数年はM&Aによる事業承継の件数が増加しています。

そうした背景が日本M&Aセンターの給料アップにもつながっているとみられます。

 一方、上位10以内にまで視点を広げてみると、「高年収」というイメージ通り、テレビ局が3社並んでいます。2位に朝日放送(1475.1万円)、8位にテレビ朝日ホールディングス(HD)(1345.2万円)、9位に日本テレビHD(1330.5万円)といった具合です。

 それ以外では、4位に証券業の野村HD(1424.5万円)、5位に不動産業のヒューリック(1416.2万円)、6位と7位には総合商社の伊藤忠商事(1372.4万円)と三菱商事(1367.6万円)がランクイン。これら4社は、前年のランキングでもトップ10入りを果たしており、高年収としておなじみの顔ぶれが今回も並んでいます。

 ここで今回掲載したランキングの算出方法を解説します。

 まず今回のデータは、「有価証券報告書」で公開されている提出会社の平均年間給与(年収)を基にしています。対象期間は2017年1~12月期としましたが、期間内で通期の有価証券報告書が取れなかった企業については、例外的に16年12月期のデータを採用しました。

 ただし、この公開データは各社の従業員の平均年齢がばらばらであるため、本来は横並びで比較することができません。当然ですが、従業員の平均年齢が高いほど年収も高くなりがちです。

 そこで、厚生労働省「賃金構造基本統計調査2017年」を基に、8業種(建設、製造、情報・通信、運輸、商業、金融・保険業、サービス、その他)の賃金カーブを多項式モデルによって作成。それを各社のデータに当てはめて、40歳時点の推計年収を求めました。

 このようにして比較可能なデータとして整備してはいるものの、このデータにはやっかいな“クセ”がいくつかあります。持ち株会社と事業会社が混じっていることです。

 持ち株会社(ホールディングス会社)として株式を公開している企業の中には、経営企画や人事系など、少数の幹部社員のみしか在籍していない場合があります。すると、その企業の実態よりも年収が高く出てしまう傾向があります。そのため、提出会社が100人未満の会社など、一部の会社はランキングで除外しています。

 一方で、公開年収が低い企業の中には、一般社員よりも年収が低い契約社員を含めている場合があります。

他にも、定年退職者の雇用を積極的に進めているビル管理業系の企業や、地方に本社を構える企業も年収が低くなる場合があります。

 本ランキングは、こうした事情を踏まえてご覧ください。参考までに決算期時点の従業員数も示しました。