山梨県忍野村が本社の世界的メーカー
今回は、愛知県を除く中部地方(新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡の8県)に本社がある上場企業を対象に「年収が高い会社ランキング」を作成した。単体の従業員数が20人未満の企業は除外している。
早速、平均年収ランキングをチェックしていこう。
1位は、工作機械の頭脳部分ともいえるNC(数値制御)装置で世界首位のファナック。年収は1364万円だった。自動車向けの多関節ロボでも強い世界的メーカーだが、本社は山梨県忍野村にある。
富士通のNC部門を分離してできたファナックは、1984年に本社を東京都日野市から忍野村に移した。
忍野村は富士山の麓、標高900mを超す高原盆地に位置する。富士山の伏流水が水源の湧水池「忍野八海」が観光地として有名で、世界文化遺産である富士山の構成資産の一部でもある。
2位は、楽器・音響機器メーカー大手のヤマハ(静岡県)で年収は934万円。同社発祥の二輪世界大手、ヤマハ発動機は759万円で9位に入った。このほか静岡県の企業では、静岡銀行が746万円で10位となっている。
3位は新潟県のゼネコン、福田組で年収は842万円。同県でTBS系列局の新潟放送は824万円で、4位にランクインした。
5位は、長野県に本社がある電気計測器の中堅メーカー、日置電機で802万円。同県は歴史的に強いメーカーが多く、トップ10に3社が入っている。医薬品中堅のキッセイ薬品工業(年収は791万円)が7位、インクジェットプリンターのセイコーエプソン(771万円)が8位となっている。
6位の三谷商事は798万円だった。福井県が本社の卸売業で、生コンクリート販売量首位である。
西濃運輸の親会社は年収722万円経営危機のスルガ銀は729万円
トップ10には入らなかったが、岐阜、石川、富山の3県で年収が高い会社をそれぞれチェックしていこう。
岐阜県で最も年収が高い上場企業は、15位のセイノーホールディングスで722万円。「カンガルー便」が愛称の西濃運輸などを傘下に持っている。
石川県の年収首位は、今村証券。693万円で23位だった。石川、富山、福井の北陸3県を地盤とする独立系証券会社である。同社の証券アナリストによるリポートは、北陸3県の上場企業を中心にカバーしており、地元密着の姿勢を打ち出している。
富山県は、ジェネリック医薬品大手の日医工が680万円で26位だった。
その他の有名企業の年収も見ていこう。
投資用不動産への不正融資で経営の屋台骨が揺らいでいるスルガ銀行(静岡県)は、729万円で13位だった。軽自動車や二輪、インド市場に強みを持つスズキ(静岡県)は、681万円で25位。
志賀原子力発電所2基の停止が続く北陸電力(富山県)は、634万円で48位だった。
(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
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