今回は「女性役員比率が高い大企業ランキング」を作成した。上位3位に新生銀行

1位には同着で、大手化粧品メーカーとコンビニが浮上した。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

女性役員比率2割以上の大企業は76社!
ランキングの上位は?

“女性蔑視”発言をした東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が引責辞任に追い込まれ、後任選びが混迷している。元サッカー協会会長の川淵三郎氏への禅譲案が、“密室人事”と批判されて白紙となったためだ。

 大会組織委は「候補者検討委員会」を新たに立ち上げ、橋本聖子五輪相やDeNA(ディー・エヌ・エー)の南場智子会長といった女性を中心に、人選を進める方針である。

 さて、前回は『女性役員ゼロで時価総額が大きい企業ランキング』をお届けしたが、今回は「女性役員比率が高い大企業ランキング」を紹介したい。

 上場企業の有価証券報告書の「役員の状況」に記載されたデータを使った。対象としたのは女性役員が1人以上いて、なおかつ時価総額(2月10日終値ベース)が1000億円以上だった、大企業566社である。

 東京商工リサーチの集計データを基に、2019年4月期~20年3月期の数値を使って、女性役員比率が高い順にランキング。順位が同じ企業は時価総額が大きい順に並べている。

 ちなみに今回、対応が後手後手に回り、ガバナンス(統治能力)の欠如が批判された大会組織委だが、実は理事会のメンバーを見ると、理事35人のうち7人は女性となっている。その女性比率は20.0%だ。

『女性役員ゼロで時価総額が大きい企業ランキング』で詳しく触れているが、女性役員が一人もいない国内の上場企業は、1900社以上に上っている。

ちなみに今回のランキングで、女性役員比率2割以上をクリアできた大企業は、対象の566社中76社にすぎなかった。

 それでは、ランキングの詳細を確認していこう。

女性役員が46%を超えた資生堂とローソン
新生銀は40%で3位に

 女性役員比率が46.15%で1位となったのは、資生堂(時価総額は3兆0728億円)とローソン(同5376億円)の2社である。

 時価総額が大きい資生堂から見ていこう。同社の女性役員は6人で、男性役員が7人という構成になっている。ちなみにトップの魚谷雅彦社長兼CEO(最高経営責任者)は、女性役員比率の向上を目指す「30%クラブ・ジャパン」の会長を務めている。

 同クラブは英国発祥の組織で、日本では19年に発足した。資生堂のほか、味の素や花王、キリンホールディングスなどの大手企業トップがメンバーに名を連ねており、女性活躍に向けた課題や解決策について、議論を重ねている。

 ローソンの女性役員も6人、男性役員が7人となっている。新卒採用の男女比率5割を目指すなど、同社も職場の人材の多様性(ダイバーシティー)を高める取り組みには熱心だ。

 男性の育児休職の取得を促進する目的で「イクメンキャンペーン」も推進しており、18年度以降の取得率は90%を超えている。

 3位は新生銀行(同3525億円)で、40.0%だった。

女性役員が4人、男性役員が6人となっている。

 同社は18年に「ダイバーシティ推進室」と「グループ女性活躍推進委員会」を設置。また19年には「女性人材育成プログラム」を開始して、女性管理職を育てる体制を整えている。

 なお、今回のランキングの完全版では、4位以下も含めた566社を掲載している。東京五輪大会組織委の会長候補として名前が挙がる南場智子氏のディー・エヌ・エーほか、ソニーや三井住友海上火災保険を傘下に持つMS&ADインシュアランスグループホールディングスなどが上位に入っている。

 女性役員比率が2割以上の76社については、業種別の分析も行っているので、ぜひ確認してみてほしい。

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