夏の疲れが体に溜まり、体調を崩す人も多い今日このごろ。薬局で買える風邪薬などの市販薬は、忙しい人にとっては心強い味方だ。
でも同じ薬を飲み続けていて、効かなくなったことってありませんか?

たとえば私は頭痛持ちなので市販の鎮痛剤に大変お世話になっているが、最近あまり効かないことも多い。そんなときはつい、指定の用量以上を飲みたくなってしまうが……。本当はどうすればいいのだろう?

そこで市販薬に詳しい専門家の方に話をきいてみることに。市販薬は飲み過ぎると効かなくなるんですか?
「はい、一般的な市販薬は体にとって異物だと認識されます。そのため体は防御反応を示し、肝臓などで解毒しようとします。こうした代謝のサイクルは、一度行われると体が覚えてしまいます。そのため同じ薬を飲み続けると、薬が本来の効果を発揮する前に早々に分解されてしまい、効きにくくなります」
つまり、こうした“慣れ”は、いろいろな市販薬で起こりうるということだ。

それなら用量を増やせばいいのでは?
「それはNGです。薬には副作用があります。たとえば胃が荒れたり、眠気を誘ったり……。ですから用量以上の薬を飲むのは危険です。また薬が効かない理由は、必ずしも“慣れ”とは限りません。
ほかに重大な病気が潜んでいる可能性もあります」
規定の用法・用量を守っても効果が見られないときは、医師に相談するのが鉄則だという。

「そもそも市販薬は“頭が痛いとき”や“風邪をひいたとき”など、特定の症状が出ているときにだけ飲むものであって、常用するものではありません」
体が慣れるほど頻繁に飲む状態が続くことは、やはり問題だと認識すべきなのだろう。

ちなみに用法・用量が「1回2錠、1日3回」といった薬を、一度に6錠飲んでも結果的に一日に体が取る薬の量は同じなので問題はない?
「いいえ。薬は最終的に血液のなかに入って正作用が発揮されるのですが、そのときの血中濃度が最適になるように設計されています。一度に飲むと一時的に血中濃度が高まり、副作用も強く現れてしまううえ、持続性がありません」
やはり決められた用法・用量を守ることが重要なのだ。

また用法・用量のほかに注意すべきなのが、パッケージの裏面などに書かれている“注意事項“。「15歳未満の小児は服用できない」等、大切なことが書かれていることも多いので、必ず確認するようにしたい。

気軽に買える市販薬。それだけに正しい用法・用量を守り、いざというときには医師の診断を仰ぐという自己管理が大切になってくるようです。
(古屋江美子)

※9月7日に掲載いたしました上記記事内で一部、薬全般を指しているような誤解を与える個所があったため、該当部分を修正させていただきました。読者の皆様にご迷惑をお掛けしましたことをお詫びいたします

※上述した文章は、一般的な市販薬について述べていますが、市販薬の種類や、服用の期間、個人差によって異なりますので、必ずしもすべての市販薬にあてはまるわけではありません(12日、編集部より)
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