皆さんの「特撮ヒーローもの」の初体験はなんでしょうか? 私の場合は「サンバルカン」、「ゴレンジャー」あたりで強烈な洗礼を受け、親にねだって変身グッズなんかを買ってもらったクチ。もう、無垢な心でハマってました。


そして、新たに注目すべきヒーローが出現。その名は「白き勇者ミルクマン」!
これは牛乳を飲んで悪の軍団ワルスギーと闘う、新時代のヒーロー。

このミルクマンを発案したのは、埼玉県深谷市や寄居町の若手酪農家が中心となって結成したグループ“ミルクマンプロジェクト”。彼らは20~35歳までの酪農に関わる人たちで構成された「D‐1」という団体を母体として結成され、2006年からミルクマンを主人公にしたヒーローショーを地元の幼稚園や保育園等で公演している。

このヒーローショー、あらすじはもちろんオリジナルで考案されたもの。内容を大まかに説明するとこうだ。

“タベスギー”、“ノミスギー”、“ヤセスギー”の3人からなる、悪の軍団ワルスギーは世界征服を虎視眈々と狙っている。そのためには、子どもたちが牛乳を飲んで健康になってしまっては困る。そこで、奴らは牛乳を奪いにやってきた。
そこに颯爽と現れたのが、「白き勇者ミルクマン」! いざ戦ってみると、ミルクマンはワルスギーたちをあっという間に退治。
ひとまず退散するワルスギー軍団。彼らの中にひとつの疑問が持ち上がる。
「ミルクマンはなんであんなに強いんだ?」。そして、ワルスギーたちから子どもたちへ牛乳についてのクイズが出題される(「牛乳は何という動物が作ってくれるのでしょうか?」、「牛は何を食べるでしょうか?」など)。
その後、ワルスギーたちはミルクマンとの再戦に敗れ改心。めでたし、めでたし……。
と、牛乳の素晴らしさを存分にアピールする内容となっている。

この公演、今までに17回行われており、計2500人を超える子どもたちに観てもらっている。
今や地元のヒーローとして十分の実績だ。
だが、“ミルクマンプロジェクト”のメンバーの本業は、あくまで酪農。仕事柄、メンバーの都合が合わない場合は、公演の依頼をやむを得なくお断りすることもある。

そこで、新たな試みとしてミルクマンを主人公にした絵本『ミルクマン』(価格700円)が出版された。この本が出版されたのは6月28日だが、現時点で130部を完売。現在、絶賛増刷中である。


こちらのストーリー、大雑把に説明するとこうだ。
牛乳を独り占めしようとするワルスギー軍団。しかしミルクマンに説得され、子どもたちと力を合わせてアイスクリーム作りを始める。このアイスクリームをみんなで仲良く食べると、その美味しさと嬉しさに感動し、改心。めでたし、めでたし……。
子どもたちが大好きなアイスクリームなどの食品が、牛乳からできていることを知ってもらうのが狙い。
ショーではできないストーリーを絵本で表現した。勿論、絵もストーリーも文も全てがオリジナル。実際に読んでみたが、ハートウォーミングな傑作です。
問い合わせは、ミルクマンプロジェクト(milkman_project@yahoo.co.jp)へ質問のメールを。

埼玉県内の酪農は、この20年間で飼養戸数が7割以上減少するなど厳しい経営環境が続いている。「酪農を継ぐ者として、生産者の声や想いを絵本やヒーローショーにのせて子どもたちへ届けたいと思っています」と熱い想いを持つ、若き酪農家たち。


こういった斬新な発想が、膠着した現状を打破する足がかりとなるのだろう。やっぱり若いって素晴らしい。
(寺西ジャジューカ)