もう、読書の秋。読書というと、集中力は欠かせないポイント。
某サイトのランキングや調査などでも、読書をするのに一番落ち着くのはどこか? という問いに、“通勤電車”や“バスの中“と答える人は少なくない。むしろ上位に上がってくるほど。私もその一人である。なぜ電車の中で落ち着くのか? 集中力を妨げる要素は大いに潜んでいそうなものだが……。

「電車のような狭い空間であまり親しくない人たちと至近距離にさらされることによって、『パーソナルスペース』はかなり害される可能性がありますね。」と話すのは、精神科医であり心理学にも詳しい、ゆうきゆう先生。

以前の記事でも紹介されていたように、『パーソナルスペース』という言葉は皆さんもご存じのことであろう。
“心理的に縄張り意識を強く感じる領域”であるが、これは電車のような“見知らぬ大勢の人と小さな部屋の中にいるような空間”では強く感じるのだ。そんな状況でも、読書に集中できるのはなぜだろう?

「こういったストレスを緩和するために、『自分の世界に没頭する』『少しでも他人の影響を受けづらい空間に移動する』などの行動をとっていると考えられます」

確かに場所も重要。まず電車に乗ったら、反射的に自分の落ち着く空間に移動するだろう。読書はそれからだ。読書に限らず、睡眠、携帯、ゲーム、音楽……。アイテムは何にしろ、空間作り、人との距離感はまず確保したいもの。


「信頼し合える恋人同士であれば、至近距離にいても強いストレスを感じることはありませんが、あまりうち解けていない相手……ましてや初対面のような相手だと、かなり強いストレスを感じ警戒心を抱くことになります」

電車の中ではリラックスとは程遠いストレスを感じているってわけ。それもあってか、電車の中でのポジション作りにも慎重な様子がうかがえるのね。私は端っこの席に座れたときが、「やったぜ!」って気持ちになる。さて、と本をとり出したくなる瞬間。

落ち着かないからこそ、リラックスしようと必死なのかもしれない。ちなみに私が好む“端っこの席”のように固定位置をキープしたがる人は……、『特に状況変化に弱いタイプ』と言えるんですって。


「ベストポジションやスタイルに拘ってしまう人は、『状況の変化に自分が影響されてしまうこと』を無意識に感じているのです」

電車の中は乗るまで“未知の世界”に近い。状況変化に影響されず、それぞれの落ち着く空間に移動してみよう。それから何かに没頭すれば、心地良いスタイルを見つけられるかも?!
(楓 リリー)