プリクラが女子を現実以上に!? キレイに写す技術にはいつも驚嘆する。ところで、プリクラには、インクジェットでよく起こる筋が入るミスプリントが少ないように思う。

まさか、プリクラ機の中にいつも人が入ってプリンタを管理しているわけでもないだろうに。なぜか。

業務用プリンタを手がけるある会社に取材に行った。すると、
「実は当社のプリンタシステム(昇華型熱転写式)はプリクラに多く採用されているんですよ」とのこと。
へ~、そうなんですか。どうしてまた。

「インクジェット式に比べて画質が良く、また、メンテナンスの手間が少ないからです」
以前から、明らかに日頃家で使っているインクジェットプリントとはなにかがちがうと思っていたが、やはりそうだったか。

熱転写式というのは、そもそもどういうプリンタかというと、インクリボンを熱で溶かして専用印画紙に定着させる仕組み。とくに昇華型熱転写式は階調性に優れ、銀塩プリントに近い画質と言われる。対して、インクジェット式はプリンタヘッドからインクを吐出して紙に印刷する。紙を選ばないので便利な反面、その吐出口にインクが詰まりやすく、結果として筋が入るのだ。

そのため、プリクラなどの業務機にインクジェット式プリンタを組み込むと、こまめに目詰まり防止のメンテナンスをする必要が生じ、ランニングコストが上がってしまうわけだ。
ちなみに、熱転写式はプリクラのほか、証明写真機、セルフデジカメプリント機などにも採用されている。
ただし、熱転写式もゴミやホコリなどによる画質低下が起こるので、定期的なクリーニングは必要だが。

ところが、あえてインクジェット式を採用するプリクラが中国などアジアでときどき見られるという。
「少々筋が入ったくらい気にしないようなユーザーが多い地域では、製造元は把握しておりませんが、インクジェット式のプリクラがあるんです」(同社)

国が違えばプリクラの中身もちがうというわけ。一般的にインクジェット式は導入コストが熱転写式より安いのがの採用の理由のようだ。もっとも最近は、家庭向けの熱転写式プリンタが安く出回っており、その影響でインクジェットを使ったプリクラは今後なくなっていくのかも。


インクジェット式と熱転写式は、プリクラのような業務用だけでなく、家庭用機でも戦いを繰り広げている。あなたは写真をプリントするなら、どちらのプリンタを選びますか。
(羽石竜示)