「プリンタって、どうしてこんなに場所をとるのか」
それは横幅があり過ぎだから……。

用紙サイズが大きくなればなるほど、横幅が広がり、デスクや棚をパソコンやモニターよりも占領してしまう。
この厄介な現象、なんとかならないものか。

そうだ、横ではなく縦に置けたらスペースを節約できるのだ。一部、小さい用紙サイズのフォトプリンタでは縦置きモデルもあるのだが。メジャーなA4サイズ以上では縦置きは見たことがない。ど、ど、どうしてなんでしょうか!?

いまどき、パソコン関連機器で縦に置けないものってあるのか。
パソコン、光学ドライブ、フラッドベッドスキャナー、スピーカー、これらすべて縦置きにできるじゃないか。


縦置きはちょっとすき間があれば大丈夫なので、周辺機器の整理にはとても重宝だ。ところがプリンタは横にしか置けないだけでなく、用紙の差込み口が邪魔で上に周辺機器を重ねることもできない。さらに、インクジェットの場合、インクヘッドが左右に移動しながら印刷するので、棚の上などに置くと、デスク全体が横揺れしてしまう。

そんなことからも、やっぱり縦置きにしたい。
「それは今のところ難しいですね」と言うのはプリンタメーカーのリコーさん。なぜなのだろう。

「ひとつは用紙の問題。プリンタを縦置きにすると用紙が不安定になってしまいます」
つまり、用紙が縦に立つかたちになり、当然ながら用紙サイズが大きくなるほど左右どちらかに傾きやすくなってしまう。

さらに、
「インクジェットは通常インクを垂直方向に打つわけです。それが縦に置くと水平方向になる。すると重力によってインクが微妙に下方へカーブしてしまい、正確な印刷ができなくなると思います」
とのこと。重力の影響があるため、縦置きにするのは意外に難しいわけだ。


では、やろうと思えば、実現できることなのか。
「本気で取り組めばできないこともないかも知れません。が、現時点では縦置きの大きなニーズを確認できていないので開発の取組みはしていません。残念ながら、我々企業はどうしても採算重視になりますので。縦置きというメリットもそれなりにあるとは思いますが」

う~ん、残念。だが、人類が進化によって直立できたように、いつかプリンタも直立する日が来ることを信じてやまない。

(羽石竜示)