2011年9月11日「SCRAP直伝!イベントの作り方ワークショップ」に行ってきたよ!
場所は、ニフティが運営するイベントハウス「東京カルチャーカルチャー」
「廃校の教室からの脱出」、「夜の遊園地からの脱出」@よみうりランド 、「リアル脱出ゲーム×エヴァンゲリオンある使徒からの脱出」といったリアル脱出イベントの他にも、The Google Puzzle原案、結婚式&2次会にナゾ仕掛けます!などなど、さまざまなイベントを仕掛けまくって、今や年間200本以上のイベント公演を行っているSCRAP

そのSCRAPのイベント企画ワークショップで、イベント企画の秘訣を学んできた。

ゲストは、
本屋大賞の仕掛け人、雑誌『ケトル』編集長の嶋浩一郎、
『ドラゴンクエストIX』プロデューサー、六本木「ルイーダの酒場」を仕掛けた市村龍太郎。
SCRAP代表の加藤隆生さんとゲストが語ったイベント企画の秘訣を紹介しよう。

「SCRAPが企画を考えるうえで大事にしていることは2つ」と、加藤さん。
秘訣1:これまでにない体験をつくること。
加藤「これまでにあるものに何かのっけて作るのはもっとうまい人がいる。
ぼくたちはぽっかり空いた空き地を日々探している会社です」

秘訣2:わかりやすさ。わかりやすくて行きたくなること。
加藤「誰も思いついてないことを思いつくことだけだとそんなに難しくないんですね。誰も思いついたことがないのに、わかりやすい。さらに、わかりやすいには続きがあって、わかりやすいのに行きたくなることが大切だと思っています」
これらが一番凝縮されるのが、イベントタイトル。

秘訣3:タイトルを練れ!
加藤「こういう感じでいこうかなーって決まってから、イベントタイトルを決めるまで一ヶ月以上かけます。
タイトル100点のイベントは、告知なんてやらなくても、どんどんチケット売れるって実感があります。85点のタイトルだと、しっぺ返しをくらう。85%しか売れなくなるんじゃなくて、5%ぐらいしか売れない感じ」

秘訣4:おもしろいイベントじゃなくて、おもしろそうなイベントを!
補足して、加藤さんは次のように言う。
「おもしろいイベントを作るのは簡単だけど、おもしろそうなイベントを作るのは難しい。会議でよく言うのは『それおもしろいけど、おもしろそうじゃないからダメだね』。おもしろそうなタイトルが作れたら、実際の企画やアイデアは、タイトルに引きずられていくらでも出てくるんです」

ゲスト嶋さんと市村さんも、企画の秘訣をいくつも披露してくれた。


秘訣5:日常を違う視点で見よ。
嶋「企画を考えようとするときにすっごい難しいことを考えようとしちゃう人がいっぱいいるんですよ。でも、企画って難しいことじゃなくて、日常生活の中にヒントがある。同じ景色を見てるのに、人と違うようにどう見えるのかが、かっこいいプランナーだと思う」
そして、かつてやった「200円でキャバクラ」計画!!というイベントを紹介してくれた(「嶋浩一郎 キャバクラ」で検索!)

秘訣6:チームにはいろんなヤツが必要
嶋「今日ってみなさん突然チーム組まされてるんですよね。イベント屋さんと十何年も仕事してきてるんですけど、第一印象で、こいつ仕事できそうにないなって思う人が、できるんですよ。だからダメそうなヤツがチームにいたらラッキーですよ」
加藤「会場が絶妙に微妙な雰囲気になっちゃいましたよ(笑)」
嶋「この前、映画特集号を作ったんですよ。
日本映画から何かを守ろう、っていう。二十代に一番好きな映画を聞いたら『ぼくらの七日間戦争』が一位なんですよ。観て、学びを得たんですけど、基本的には「チームには美女が必要だ」と。だから、今日も、できなさそうな男がいて、美女がいるチームがいいですよ」

秘訣7:てんこもりにするな。一番効くところを探せ。
嶋「いっぱいてんこもりにすると企画は失敗する。
1コいいところがあればいいのに、3つも4つも詰め込む企画は最悪なんですよね。ブレストすると何十案も出てくる。それらのアイデアはみな正しいんですよ。でも、一番効くのを探す。頭のツボ押しても気持ちいいし、背中のツボを押しても気持ちいいけど、全部のツボイッキに押したら吐いちゃう。このイベントはこのツボを押すのがいいっていう、一番いいツボを押してあげるのがいい」

秘訣8:自分をチェッカーにする。

嶋「自分がやりたいかやりたくないか。女性がターゲットの企画も、お年寄りがターゲットの企画も、基本自分がまずやりたいかやりたくないか」

秘訣9:ヒトコトで説明できる企画を。
嶋「ヒトコトで説明しないやつも大嫌いなんですよね。なんなのその企画って聞くと「ここにウェブがありまして、ウェブに行った人が~」「や、もう、もういい」ってなるよね。ひとことで説明できる企画って最高ですよね」
加藤「イベントの企画書を書いて、進行から趣旨から全部書いてA4に収まらなかったら、その企画は没にしよう、A4でおさまらないようなのは、俺たちにはムリだっていう」

秘訣10:ありそうでないものを!
市村「小さいころこんなことできたらスゴイよねって憧れだったものとか。クリエイター側だけで考えたものを押しつけちゃうとダメ。みんながわかってる範囲の中の半歩先ぐらいを見せる。そうすると、ふっと入って来れて、ぼくらのクリエイティビティも提出できて、そこで融合が起こると、ピッとつながる」

秘訣11:「どの感情を揺さぶるのか」を意識せよ。
市村「お客さんに何を持って帰ってもらうか、どこの感情を揺さぶるのか、を意識する。何かの感情を揺さぶれば、ひろく刺さる企画になる。どこかの感情を揺さぶるようにする」
加藤「どの感情をどういうふうに揺らすかを分かってないといけなくて、それはものすごく分かりやすくないといけない。ぼくらが心懸けているのは、終わった後の感想が言いやすい。リアル脱出イベントだったら、ほとんどの人が「くやしいっ」ってアンケートに書いて帰って行くんですね。くやしがらせたら、ぼくらは勝ちだと思ってます」
嶋「モテたいとかやせたいとかシンプルな気持ちをつかむと強いよね」


企画秘訣が伝授されて、イベントはいよいよ本番、ワークショップのスタート。

22のチームに分かれて、イベントを企画していく。
優勝特典は「東京カルチャーカルチャーでイベントを実現」そして「イベントの収益を2割を支払い」!

流れは以下の通り。
1:タイトル出し。1人ずつタイトルとキャッチをどんどん出していく。10分間。
2:アイデアをしぼる。チームで出てきたタイトル案を、しぼったり組み合わせたりする。15分間。
3:企画書にする。20分間。

22タイトルが発表されて、イベントはどんどん盛り上がるのだけど、ワークショップ形式参加型なので、細かいところはぶっとばして、優勝チームのタイトルを紹介しよう。
「ラブフレーズバトル キザなセリフ、言えますか?」
このイベント、今年度中に、実際にやるそうである。期待!(米光一成)


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