「信長の野望」をやったり
――「織田信奈の野望」ではじめての監督なんですよね。
熊澤> そうなんですよ。でも、シリーズの各話1本を担当する演出との違いはあまり感じないですね。作品をつくる上で重視することは、そのときも念頭に置いていました。
――原作の挿絵を担当しているみやま零さんが〈合戦のシーンだとかアニメで動かすのは相当大変だろうに、とんだチャレンジャーが現れやがったぜ、と思いました〉と公式サイトのインタビューで言ってましたね。実際にやってみていかがでした?
熊澤 大変でしたよ〜。合戦シーンはキャラクターも多いので作画のボリュームがすごいことになってしまうので見せ方を苦労しました。実際に描いていると勘違いされている方も多いですけど、馬は基本的にCGなんですよ。
――そうなんだ! 戦国ものとか、現代ではありえない状況を描くのは大変ですよね。
熊澤 そうそう。
――熊澤さんはなにかやってなかったんですか?
熊澤 実は、僕も剣道をやっていました。だから、刀の握り方にはこだわりましたよ。
――気付けばスタッフが戦国アニメオールスターみたいな。
熊澤 いやー、ラッキーですよ(笑)。
――熊澤さんは戦国ものはお好きだったんですか?
熊澤 好きだったけど、そこまで詳しくなかった。なので、鈴木さんにあずけている部分もあるんですけど、そんなに頼ってばかりもいられないじゃないですか。ちょいちょい資料を調べたり。
――歴史書をひもといたり?
熊澤 「信長の野望」をやったり……(笑)。
――ははは。
熊澤 ゲームをはじめなくてもキャラクターの紹介文だけ見れるので、そろそろ寝るかーってときに起動して、勉強してから眠りにつく(笑)。
アニメから原作へ
――9話放送直後にみやま零さんがツイッターで衝撃発言をしていて……。
熊澤 おっ……。な、なんですか?
――「フロイスのおっぱい揺れすぎなのは、ノーブラ設定だから」「信奈の世界ではブラジャーは日本が舞台なうちは唯一信奈専用の貴重品装備だから、宣教師キャラでも装備はしていない」って。
熊澤 えー、知らなかった! でも、あれだけ揺れるからなー。
――そういう話、もっと聞きたいですね(笑)。
熊澤 一応、あの時代にあるものでつくっているんですよ。杉谷善住坊の火縄銃に付いているスコープは遠眼鏡を改造していたりね。
――アニメのために描き下ろしたキャラクターもいますよね。
熊澤 小説の挿絵にいないキャラクターは描き下ろしていますね。キャラクターデザインの高品有桂さん、サブキャラクターデザインの吉川真一さんがデザインを起こして、みやま零さんに確認をしてもらっています。
――原作に登場しない武将がチラっといるのがいいですよね。池田恒興とか佐々成政もちゃんといたんだーって。
熊澤 佐々成政はもっとたくましいイメージでしたけど、かわいいですよね。
――男キャラクターはほとんど描き下ろしですよね。
熊澤 原作で挿絵がないですからねー。みやまさんに確認してもらって、ほとんどOKをもらっているんですけど、杉谷善住坊だけ強いこだわりがあって、いまのデザインにさせていただきました。
――どういうこだわりが?
熊澤 実はですね、(ピ――――――――ー)。
――ええー!
熊澤 なので、もうちょっとかっこ良くしたいとお願いがありました。あと、半兵衛が使役している前鬼は高品さんが描き下ろしているんですけど、そのあとみやまさんが描いてくれた。
(加藤レイズナ)
後編!