「『この船の海賊王は誰……』じゃない、何だっけ?」とサンジ役の平田広明。
「海賊王じゃないよ。
『この船の航海士は誰?』だからね!」と間髪入れずツッコミを入れるナミ役・岡村明美。

サニー号の船上のようなボケとツッコミの応酬が繰り広げられたのは、15日(土)から全国公開された映画「ONE PIECE FILM Z」の初日舞台挨拶。映画の中と同じ海賊衣装をまとったレギュラー声優陣が、丸の内TOEIの舞台上に登壇した。

「8000人の部下たちよぉ、楽しんでけよぉー!」(ウソップ役・山口勝平)
「ここにいる人たちが一斉につぶれたら、この会場は赤く染まるかしら?」(ロビン役・山口由里子)
「スーパーぁ!に、盛り上がってくれるかぁい」(フランキー役・矢尾一樹)
「今日は皆さんに会えて、私ホント、生きててよかったぁぁぁぁ」(ブルック役・チョー)

それぞれのキャラクターに成りきって、3年ぶりの劇場版公開初日の喜びを表現する麦わらの一味。
ルフィ役の田中真弓はヒット祈願の雄叫びをあげる。
「ゴムゴムのぉ、ギガントヒットぉぉぉぉ!」
この宣言通り、映画前売券の売り上げは前作「STRONG WORLD」から150%もUPし、本年度最速、公開わずか2日間での観客動員数100万人突破を果たした。


ひとしきりキャラクターに成りきっての挨拶を終え、一息つく麦わらの一味に対して、
「楽しみにしているファンの皆さんに、演じているキャラクターの声で初日の喜びを表現していただきたいと思います」ともう一度コメントを求める無茶ぶり司会者。

矢尾「俺、さっきもうやっちゃったよ」
山口勝「何?何? 目があったらやらされるの?」
大谷「できた人からの挙手制ですか?」
矢尾「大喜利じゃねーんだから」
と牽制しつつも、いざマイクを向けられると、まずチョッパー役の大谷育江が、
「こんなにたくさんの人がすごく楽しみにしてくれるなんて……嬉しかねーぞ! コノヤローがぁ」
と、小さな体からチョッパー流照れ隠しの声を絞り出す。

「あんたがどれだけ強くても、大ヒットの予報は外れないッ!」(ナミ役・岡村明美)
「映画の大ヒット祈願&御礼を込めて、みんなにぃーアリガト星!アリガト星!アリガト星!」(ウソップ役・山口勝平)
「この勢い、初日で終わらなければいいけど……」(ロビン役・山口由里子)

チョッパーに続いて、文句を言いながらもしっかり演じる麦わらの一味。
マイクを隠して必死に拒否していたフランキー役の矢尾は、「冗ー談じゃないっわようっ」と懐かしのボンちゃんで場をごまかす。
平田「出てんのか?出てんのか? この映画に!」
矢尾「お楽しみです。ひょっとしたらどこかに出ているかもしれません」

トリを務めることになったブルック役のチョーさん。

「私がトリですかぁ??」と驚きつつも、「体を使って表現したいと思います。『鼻唄三丁、Z斬りっ』」と決めポーズ。正座の姿勢から背中を一気に反り、両手を前に突き出す。でも、ブルックの絵を思い浮かべると、なんだかキョンシーポーズのようにも見えてくる。

レギュラー声優陣の体と声を使った盛り上げに、ゲスト声優の二人、篠原涼子と香川照之も加わる。
香川が演じたのは元海軍大将ゼット率いるNEO海軍の幹部・ビンズ。
植物を操る“モサモサの実”の能力者だ。

「これだけ盛り上がった会場を久しぶりに見て、ワクワクしています。ワンピースの世界に入れて、今日、改めて『ありがたい作品に出会えたな』と実感しています」と真面目に挨拶する香川に対し、横から「澤瀉屋(おもだかや)! 澤瀉屋!」と歌舞伎(市川中車)の屋号を叫ぶ平田広明。
悪ノリした田中真弓は「ヘルシア! ヘルシア!」と叫んで平田から平手でツッコミを受ける。
「すみませんでした」と一味を代表して香川に謝る平田の隣で、申し訳なさそうな顔をする田中。でも、それがさらに観客の笑いを誘う。


同じくNEO海軍の幹部・アインを演じた篠原。人を若返らせることができる能力“モドモドの実”の能力者だ。
「モドモドぉ~!」と劇中の決め台詞を叫ぶと、「香川さんの(決めゼリフ)も見たい見たーい」と無茶ぶりをする麦わらの一味たち。
「え? 僕なんか、セリフ、一個しかないんだよ???」とはじめは嫌がりながらも、しっかり「モサモサぁ!」と絶叫する。

ひとしきり盛り上がった後、
「青キジがお好きだと言う香川さんにお聞きします」と、ようやく映画の内容についてのトークに移行した。
「え……僕、赤髪のシャンクスが好きなんですけど……」と笑いを誘いつつ、「この映画の中で、本当に青キジがポイントになっている。
また青キジの登場シーンがカッコいいんです。『ヒエヒエ(の実)食べてんのに、そこ?』っていうね(笑)」と青キジの登場シーンを挙げる。

ゼットと青キジ、二人の「元・海軍大将」の生き様が今作の大きな見どろこだ。この日の舞台挨拶には参加できなかったゾロ役・中井和哉もプレミアム試写会において「青キジがめっちゃかっこいい。心の中では“エピソード・オブ・青キジ”と呼んでいます」と語っていたほど、青キジが物語のキーとなっている。

青キジ配役の理由については、脚本・鈴木おさむから明かされた。

「『ゼットという元海軍大将の男の話にしたい』ということを尾田さんに初めて伝えたとき、原作はその頃まだ魚人島に入る前の段階だったんですけど、『実は海軍は、今、こうなってるんですよ』という尾田さんのプランを聞かされたんですよ。原作で赤イヌと青キジの決闘が明かされるずっと前にそのことを聞かされて、『そんなことになっているんならそれこそ(青キジを)映画の中で出させてもらえないか』という提案を、監督・スタッフとともに尾田さんに言いに行ったんです。それを尾田さんがOKしていただいて、そこからもっともっと、作品を肉付けしていったんです」

長峯達也監督によると、原作者にして映画の総合プロデューサーも務めた尾田栄一郎とは、完成までかなりのぶつかり合いがあったと言う。
「ゼットとルフィの“信念”のぶつかり合いに熱くなって欲しくて、頑張りました! でも、尾田さんとのやりとりが、かなりガーッと……(苦笑)。ゼットはこの映画のためのキャラクターなので、どうしても割と、僕はゼットのほうに感情移入してしまって、尾田さんから「おいおい待ってくれ! ルフィが主人公なんだよ!」と言われて、「あぁ!そうだった!」というやりとりを延々続けてきましてね(笑)」

作中のゼットとルフィのような「信念のぶつかり合い」が繰り広げられていたのだ。
鈴木おさむも「尾田さんがある日『ゼットが生まれてからどういう人生を送ったか』ということを字と絵で描いてくれたんです。だから尾田さんの血を通して出来たキャラクター。青キジとどういう関係なのか、ということまで含めて楽しんでいただければと思います」とエピソードを披露。

この尾田栄一郎直筆「ゼットの設定」に関しては、映画館に来場するともらえる特別付録『ONE PIECE 第千巻』の中にも収められている。ちなみに、「千巻」とともに200万個限定で配られる特別プレゼントが「海賊の宝袋」。ひとつひとつ中身が異なる特別仕様だ。すでに100万人を突破したこともあり、「海賊の宝袋」を入手したい場合は劇場へ急ぐ必要があるだろう。
(※公開日初日から配られるのが、千巻を含むグッズセット「海賊の宝袋」(200万個限定)。「海賊の宝袋」が無くなったら「海賊の宝箱」が当たる「スクラッチカード付き千巻」が配布され、それが無くなったら「カード無しの千巻」が配布される予定。東映のウェブサイトでは各プレゼントの残数状況も確認できるので、劇場選びの参考にもぜひチェックを!)

最後に、16日の総選挙を意識して「モンキー・D・ルフィに清き一票を」と締めた田中真弓。
果たしてこのまま、票を集め続けることができるのか?
映画「ONE PIECE FILM Z」
全国300のスクリーンで絶賛上映中!
(オグマナオト)