長寿の国・長野で、男性に続き、女性も平均寿命全国1位になったというニュースが報じられていた。

長寿の理由には、野菜をたくさん食べる食習慣があることや、保健補導員(民生委員の「保健」版のようなもので、長野県須坂市発祥。
自治体から世帯持ち回りで選出される)などによる地域ぐるみの健康指導などが指摘されている。

ところで、気になるのは、長野県では野菜をたくさんとる一方で、茶飲みの習慣がある(コネタ既出)ことから、お茶請けに漬物を大量にとること。減塩を心がけているとは聞くが、親戚やご近所などに行くと、相変わらずお菓子よりも漬物が出る家庭が多い。塩分についてはどのように対策をとっているのか。

それについて、保健補導員の女性、農家の女性などが、こんな話をしてくれた。

「漬物の塩分を控えようという動きは、だいぶ前から進んでいます。保健補導員やJA、農家、お寺に集まる婦人会などは、手作りの漬物などを持ち寄り、食べ方などの提案をしてきましたが、塩分を控えようと言っている私たちの作るものが、家庭で食べるものよりもしょっぱいというわけにはいかないですからね」

そのため、漬物の作り自体も、昔と変えてきているという話だ。以下に、ご婦人方の各ご家庭の例を紹介したい。
「昔は塩分20パーセントで作っていた梅干しも、今は15パーセントと10パーセント、5パーセントに分けて、10パーセント以下は冷蔵庫保存しています」

「奈良漬けも、15パーセントで作っていたところ、14パーセントにしたら、すぐいたんでしまった。ちょっとの違いなのに、温暖化の
せいもあるんだろうね。冷蔵庫に入れられたら良いんだろうけど、漬物を入れるほどスペースがないから、今は減塩製品のものを選んで市販の漬物もよく食べてます」

「昔は日持ちするように塩分多めで本漬けした野沢菜が当たり前でしたが、今はサラダ感覚で食べる浅漬けにしたり、スーパーなどで減塩のものをその都度買ったりしています」
「最近は減塩を考えて、酢漬けや、らっきょう酢漬なども取り入れるようになりました」

海のない長野では、かつては塩漬け文化だったが、今は減塩を心がけている家庭が多い。かといって、お茶請けとして漬物を食べてきた人たちが、減塩を考えて、漬物を食べなくなってお菓子などを食べるわけではなく、塩分を減らした漬物にしたり、傷みやすくなる分は冷蔵庫保存したり、酢漬けの利用、スーパーの製品なども取り入れるようにしているという話だった。


実際、常備菜などを含め、食事どき、お茶どきに登場する野菜の多さは、他県の人に驚かれることが多い。
一過性のブームでなく、流行に飛びつくのでもなく、「たっぷりの野菜を日々とること」など、自分が本当に納得できることだけを地道に続けていく真面目な長野県の人たち。この性質も、長寿の秘訣なのかも。
(田幸和歌子)
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