する?
しようか

で、マツジュン(松本潤)がマジチュー(ドラマの中の話です)ですよ! 

事件ですよ、事件簿ですよと、某CMをマネしたくなっちゃうような舞い上がった気分にさせてくれた月9「失恋ショコラティエ」(CX)第2回を、あたふたと振り返ります。(第一回はコチラ)

このドラマは、マツジュン演じるショコラティエ(チョコレート職人)小動爽太が、ちょっと道を外れた恋にはまっていく物語。


第1回では、本命のいる女性サエコ(石原さとみ)を思い続けて11年。彼女が人妻になってもなお追いかける、一歩間違えば、やばい姿を描いていました。

そして、1月20日(月)放送の第2回では、サエコがいるにも関わらず、ほかの女性えれな(水原希子)とセフレ関係を結んでしまうという、さらなる堕落っぷりを爽太が見せます。
なんといっても、サエコがチョコレート風呂に入っている妄想を爽太がするシーンは、堕落、ここに極まれりでありましょう。

この様子を、通常放送時間の10分ほど延長してまで描くという気合いの入れようで、第2回にして、一気に原作単行本2巻分6話まで進んじゃいました。
第1話はかなり原作に忠実に進行していましたが、第2話は、原作エピソードをかなりシャッフルさせています。

フランス人シェフ・オリヴィエ(溝端淳平)の出番とチョコレートの描写を原作よりはやや少なめにして(ちょっと残念)、話はスピーディに進み、頭に血が上りますー。

爽太の行動は、サエコの気を引くために「悪い男」になろうとするという、涙ぐましい努力の末であり、そう思うと、道を外れていても、許せてしまう、かわいらしい感じもしますけれど、えれなに「する?」と誘いかける、ブラックマツジュン覚醒の瞬間は、激しくゾクッとしました。

それから、サエコに「罠をしかけなきゃ」という時の指先の動きもヤバかったですね。
このドラマでは、松本潤の上唇と下唇のホクロが、やけに色っぽく見えてしまうと思いませんか?

爽太とえれなの不適切なはずの関係についてもう少し書きます。
これは原作でも人気のエピソードです。えれなの女子人気は高いのです。

サエコの、男子には天然に見えるが、実はかなり策士であるという、いわゆる小悪魔っぷりは、当然ながら同性受けがよろしくないです。
傘をわざと忘れて、爽太に持ってきてもらおうとしたり、爽太に女友達を紹介すると言って反応を見たり、標的に向けて、ちょっとずつ点を打っていくしっかり者です。見た目はポワンとしているのに、学生時代、「学校中のイケメンを食い倒してきた」のは伊達ではありません。おそろしい。いや、見習うべきなのでしょうか。うーん。

というか、いつの間にか、爽太、標的?

その点、えれなは、まったく裏がありません。
それが、美女なのに女の子っぽくなくてモテない理由です。
そういうキャラを同性は問答無用に応援しちゃいます。
爽太とえれながお互い、他に好きな人がいる片思いサークルの仲間という傷を舐めあう関係というのが、負け組には癒しになりますし、ふたりが惹き合ったのが、お互い仕事に一生懸命であるという点なのがエクスキューズになっているのですね。
爽太はショコラティエ、えれなは、女子の憧れのモデルとして各々がんばっていて、それを認め合ったところから、いい関係になっていくのです。

強い友情は肉体にまで及ぶ、というのもステキなことかもしれないと思え、爽太とえれなが一緒にお風呂入っていちゃいちゃしていても、許してしまうという、これ、作家(水城せとな)の作戦勝ちですよね。


さらに、ドラマでは、脚本の安達奈緒子が、原作になかった描写を加えてきます。
爽太とえれなが一緒にお風呂に入るというベタベタモードでありながら、「えれなの仕事の手だ」と手をにぎっとする、ラブなのか仕事なのかごっちゃになった描写は、この恋の罪悪感を払拭します。
これが月9の限界とも言えますし、単純に恋を描くよりも、こういう関係もなんだかいいなと思います。

そして、結果、えれなのネイルから、新しいショコラのアイデアが浮かぶ(これは原作通り)という、なんだかんだ言って仕事人の話に収束するところが微笑ましい。
心を淫らな悪魔にして、がんばっている男子の物語に、女子まっしぐらです。

というか、実は、爽太とえれな、どっちも片思い同士なので、爽太にとっては、サエコを思うよりも正道なはず。

そのズレちゃってる感じ(恋の病の成せる技?)がこの物語の面白さでもあるのです。

それにしても、松本潤は、道がズレちゃったラブストーリー出演経験が豊富です。
親子ほど年齢の離れた人妻との恋を描いた映画「東京タワー」や、双子の妹との恋を描いた映画「僕は妹に恋をする」や、年上のお姉様に飼われているような関係を描いたドラマ「きみはペット」などがそれ。

やっぱり、天使か悪魔か感を絶妙に醸せるからですよね。もしかしたら、マツジュンはデビルマンを演じられる逸材かもしれませんぜ。
いっそ、溝端淳平に飛鳥了をやって頂いて、有村架純が美樹かなあ(妄想が暴走)。


爽太だけでなく、妹まつり(有村架純)まで、友達の彼と内緒でつきあっている「悪い子なの」とカミングアウトした2話。
このシーンで、まつりとオリヴィエがアイスを食べている(原作ではゲームをやっている)
ところが、スイーツとビターな状況との対比が、チョコ以外でも使われていて良かったので、今後も何かと甘いものに人間がまみれている場面を期待します。

とはいえ、爽太の、チョコレート風呂妄想のセンスどうなの〜?と思ったのですが、オトコの人の欲望ってこんなものなのでしょうか?!
サエコからの意図不明のメールに妄想膨らませて、ゆらゆらしているドラマオリジナルシーンは良かったですが。
たぶん、脚本的にも演技的にも、サエコと爽太の駆け引きの心理戦がやるどころだと思いますが、それだと地味になっちゃいますし難しいところです。
かといって、チョコ風呂妄想2連発はちょっと、といつまでもグジグジ・・・。
「きも」のトリプル。さらにもう1回、合計4回「きも」を連発した薫子(水川あさみ)に共感し、まんまとドラマにハマってしまっていました。
果たして、爽太は、サエコへの純愛を全うするのか、えれなとの純肉体関係とも言うべき友情はどうなるのか、3話以降が楽しみです。
(木俣冬)

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