2月10日「失恋ショコラティエ」(CX)第5話終了後、出演者の石原さとみ、水川あさみ、水原希子がゲスト出演した「SMAP×SMAP」で「ハムハム」というワードが登場しました。

唇と唇をハムハムするキスーー要するに貪るようなキス(きゃー)のことですが、「失恋ショコラティエ」第5回では、爽太(松本潤)とセフレのえれな(水原希子)のハムハムキスがありました。


しかもこれ、「愛の表現」ではなく「愛の練習」だってとこが、「失恋ショコラティエ」における愛のミステリ〜。

爽太は人妻サエコ(石原さとみ)、えれなは
ミュージシャン倉科に片思い中で、ふたりは「こんな歪んだ愛の練習がいつか役に立つことがほんとうにあるのかな」と迷いながら、ハムハム(濃密)キスをするのでありました。う〜ん、愛のラビリンス〜。

爽太とえれなは、爽太の好きな場所(朝日が昇る海)にまで行き、車の中で寝過ごし、すっかり昇ってしまった朝日を見て、缶コーンスープを飲んじゃったりもします。

そんな彼らを、やたらと洞察力のあるフランス人ショコラティエのオリヴィエ(溝端淳平)
は「両思い」だと指摘しますが、爽太は認めようとしません。

でも、冷静に考えてみましょう。

えれなは、缶スープをポケットで保温して爽太に渡したり、すっかり昇った朝日でも「私、好きだよ、この景色」と言ったり。何かにつけて、相手に対しての思いやりを感じさせる言動をします。

それに比べてサエコは、爽太のチョコが好きっていうだけのようにしか思えません。
買い物につきあってほしいとか、誕生日のケーキを作ってほしいとか、寂しくさせないでほしいとか、何かと自分の希望ばっかり。
爽太は、そんな自分本位な子が、なんで好きなのでしょうか。

と、疑問を呈すると、薫子(水川あさみ)が爽太に言われたように、「俺は女の悪口言う女は大嫌いだよ」と叱られてしまいますので、要注意です。


「失恋ショコラティエ」第5話で得た教訓!
好きな人には、他人のことでも自分のことでも、マイナスな言葉は言わない。
どんなささやかなことでもいい。他人のいいところを探して、褒めること。

そりゃあ、貶める女より褒める女のほうがいいに決まっています。でも、爽太のサエコへの思いは、さすがに愛のミステリー過ぎやしませんか。

サエコのバースデーケーキを作りながら、誕生日を彼女が祝う相手が自分でなく、夫であることに嘆きながら、サエコがケーキを取りに来てくれた時に「直接顔を見ておめでとうって言えるんだから幸せ」なんて言う爽太。

奴隷願望ですか?

否定はしません。人にはいろいろな嗜好がありますから。でも、主人公が、こうも小悪魔(サエコ)に振り回されていると、多くの視聴者がモヤモヤしてしまうばかりではないでしょうか。
そうして、もう全話の半分くらいまで来てしまいました。

それを反省したのか、ドラマ版は、原作と少し変えてきました。

えれなが倉科さんに勇んで告白したものの、玉砕したらしいという留守電を聞いた爽太は
、お店の打ち上げをほったらかしにして、えれなの元に走ります。
これは原作まま。

これをとがめた薫子に、前述の「女の悪口を言う女〜」発言が飛び出すのですが、やっぱり爽太、ちょっとヘン。これも原作まま。
ただ、爽太役の松本潤の表情のほうが救いを感じさせたかも。漫画はかなりキツい顔で、どストレートで言い放ってましたが、ドラマにはやや揺らぎを感じました。

いずれにしても、爽太は、サエコの思いを仕事に生かしているけれど、大事な従業員を慰労する会をほったらかしにして、えれなのところに行くのは、やっぱり問題行為です。

仕事に生きる男らしくありません。

ただ、原作と違うのは、えれなのところに向かって全速で走る爽太に、サエコが電話をかけてくるところが加わったことです。

サエコは、夫にカゴの鳥状態にされ、孤独感を深めています。その気持ちを爽太と彼の作ったチョコでなだめているのです。
しかし、さすがの爽太も、サエコの電話に気付かず、えれなに向かって一目散だったことが、原作とは違った、やや道義的な展開でした。

原作では、このくだりは4、5巻にありますが、サエコのバースデーではなくクリスマスの話になっています。

原作では、サエコが頼むのは、クリスマスケーキ。ドラマの放送時期とクリスマスが合わないための改変でしょう。

クリスマスだからブッシュドノエル(木の切り株を模したもの)なのですが、ドラマはバースデーケーキでも木の切り株型を引き継いでいました。

ちなみにサエコのバースデーは1月22日という設定。
チョコレートの祭典・サロン・デュ・ショコラの初日と同じでした。カレーの日ですけどね、1月22日。

あと、この日生まれの人は星占いで見ると水瓶座ですが、水瓶座的なサバサバ感がありません。
サエコは爽太が一目を置く、流行に敏感な目利きという設定は、水瓶座ぽいとも言えますが・・・。
みつめる瞳が潤み過ぎで、サエコ、魚座ぽいですよ。えれなのほうが、水瓶座ぽい気がします。

爽太のサエコへの思いが「重い」「きもい」と言われますが、サエコのほうが重い。
これは石原さとみの演技によるものです。
原作にもある、夫に乱暴に扱われて、包帯に眼帯というフェチズムあふれた格好になりますが、石原さとみがやると、新婚夫婦のマンションが、沼のような井戸のような湿度の高さになってしまいます。

それでも爽太がサエコのことを思い続けるように、世の男性は、石原さとみがかわいい!つきあいたい!と思うのでしょうか。

ドラマの後、「SMAP×SMAP」にゲストで出た石原さとみは、一回別れた人とは二度と恋できない。なぜなら、別れることにすごくエネルギーを使ったのだから。というような意見を毅然と語っていました。やっぱ重いですよ、石原さとみ。

彼女の存在によって、「失恋ショコラティエ」に潜む「耳なし芳一」とか「桜の森の満開の下」とか「牡丹灯籠」とか、魔物の女に憑かれてしまう男を描いた怪談性が拡大されていくことに震えます。
石原さとみ、タイトルバックでチョコレートのマツジュンを食べていますしね。マツジュンの落ちるチョコレートの海って、血の池地獄にも見えますよね。恋ってコワイ。
(木俣冬)

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