みんなさっさとやめちゃえばいいのに
片想いなんか

1月27日放送の「失恋ショコラティエ」第3話で、爽太(松本潤)は、そうつぶやきました。

爽太はサエコ(石原さとみ)、薫子(水川あさみ)は爽太、オリヴィエ(溝端淳平)は爽太の妹まつり(有村架純)、えれな(水原希子)は一回会っただけのミュージシャンと、
みんな誰かに片思いをしています。


そして、爽太が思いを寄せる人妻サエコ(石原さとみ)も、片想いサークル予備軍だったことが判明しました。

彼女、実は旦那とうまくいってない。
わかりやすいほど、結婚した途端に、旦那が冷たい割りには束縛してきて、わかりやすいほど、サエコが主婦生活をつまらないと思っているという描写がされます。

そんなですから、立派なショコラティエになった爽太に、ひそかに粉をかけていたのです。
天然なのかどうなのか? 謎でしたが、計算でした。やっぱりね。


ミニスカートで挑発、ヒールの低い靴で可愛く見せるなど、サエコの小細工は姑息。
でも、そんなふうに思ってしまうと、薫子(水川あさみ)のように縁遠くなってしまうようです。反省。

なにしろ爽太が、そういう計算ちゃんを「可愛い」と言い切るのです。
「見え見えだから可愛いんじゃん」
「可愛いもん見れただけでこっちは幸せだからね」
これ、原作を読んだ時も、目からウロコだったんですよねえ。

オトコは単純なのだそうで。


確かに、計算ちゃんを「姑息」と敵視することは、幸せを先取りされてしまうことへの同性としての不満でしかありません。反省。

こんなふうに、第3話は恋の教訓がいっぱい。
爽太の「冷却期間は確実におれを成長させたんだ」も、メモメモです。
爽太は1ヶ月間、サエコと連絡とらないで我慢して、ようやく商品案内という形でメールすると、1ヶ月半後にサエコがついに店にやってくるんです。そういうことって大事〜。


オリヴィエの考え方にも、落ちたウロコが復活したそばからまた落ちました。

家柄もよく、イケメンで、ハリウッド女優とつきあうことも夢ではない境遇にも関わらず、彼が日本の平凡な女の子まつりを好きだということに、爽太は疑問を呈します。

しかしオリヴィエは平然と「出会った人としか恋はできない」と言うのです。
「失恋ショコラティエ」は名言が多い。
「ハムスターは同じカゴの中にいるハムスターとつがいになる」
「まつりちゃんと僕を同じカゴに入れてくれた神様に僕は感謝している」

ハムスターに例えるのもどうかと思えなくもないですが。
要するに、オリヴィエは、現実的なヒトなんですよね。
あんまり夢を見ないヒト。
容姿にめぐまれている人ほど、相手の容姿より心を重視するとも聞きますし、自分が夢のようなヒトは夢をそんなに見なくて済むのかも。うらやましい。

オリヴィエはがっつかず「様子見」を心がけます。
相手がラブラブの時ではなく、痛い目を見るまで待つという作戦です。
それを爽太は「意外と黒い」と感心しますが、結局、がまんできなくてオリヴィエもがっついてしまうところが可愛いんです。


同じカゴの人という現実派のオリヴィエに対してえれなは、一回しか会ったことのない男性に妄想しています。
これが、最もどうにもならない恋です。
しかし、ついに彼女も、もう一度会えるチャンスを得ます。

とにかく、行動しないことには、何もはじまらないということを、教えてくれた第3話でした。
それも、ただただ猪突猛進に「好き好き」突進していくのではなく、いろいろ計算することも必要であると。
そんなの、めんどくさ! と思ってしまうと、薫子状態に陥ってしまうぞ!と何度も自分に言い聞かせましょう。
反省。
第一、爽太とサエコが下心を隠しながら会話するシーンが一番面白いですからね。

ただ、ドラマでは、サエコ役の石原さとみが、原作以上に、湿度のある演技をしているので、
余計に同性の反発を受けそうで、勝手に心配になっております。
えれなと一緒の爽太を、やや顔を斜めにして、じとっと見る目がやばかった。

また、爽太の妄想の中で、パートカラー(モノクロで一部分だけ色が入る)になったシーンがありますが、赤い傘をさしたモノクロの石原さとみもなんだかこわかったし、爽太を買い物に誘って断られて、踏切を待っているシーンも、そこだけ妙に、どシリアスな作品のような演出で。
前半、軽快に、恋の駆け引きや妄想シーンをやっていた番組と同じに思えなかったですよね。

そこで発見。
唇ぽってり女子は情念を感じさせます。

実は、水原希子も唇ぽってり系なんです。
クールな役が多いですが(「へルタースケルター」とか「トリック劇場版ラスステージ」とか)、唇の存在感はあるのです。
ドラマの「失恋ショコラティエ」に限っては、
爽太は、唇ぽってり系女子が好みなのかもしれません。

とすれば、唇薄めの薫子のことは眼中にないのも、納得です(涙)。
爽太はみごとに薫子の気持ちをわかっていません。サエコは、可愛さを感じさせることができるし、えれなは「セックスしよう」とすぐ言葉で伝えることができますが、薫子だけが、自分の本心を隠し続けているからです。

薫子は唇薄めだから、表情も乏しく見えます。
唇薄めなヒトほど、はっきり表情に出す、言葉に出す、ことを心がけてみたいところです。
唇厚めなヒトは、情念だだ漏れにならないように気をつけたいですね。

そんな中で、松本潤の目の表現力はやっぱりすごいと思いました。目の動きで60分保たせてやる!くらいの気迫です。
このドラマ、誰かと向き合って会話する場面ばかりで、松本潤もアップとモノローグが多いです。えれなとのラブシーンも、1話より大人しくなってしまいました。
ところが、マツジュンがびっくりしたり、悩んだり、黒くなったり、喜んだり、その都度、目の表情のバリエーションが豊富で、3話まで延々、その繰り返しであるにも関わらず、飽きさせない。
情念系も乾いたコミカル系な表情も自由自在です。
さすがに、そろそろ爽太が動く展開にしてほしい気もしますが。

ところで、失恋じゃんけんは2勝1敗です。
皆さんはいかがですか?
(木俣冬)

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