第150回記念「芥川賞&直木賞フェスティバル」速報第7弾!
イベント終了後、30分以内に書いて即アップの最速リポートです。
3月2日15時から16時のステージは
『対岸の彼女』で第132回直木賞を受賞、『紙の月』がドラマ化された角田光代と、
『石の来歴』で芥川賞受賞、『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』がテレビドラマ化された奥泉光、
そして読売新聞文化部次長・鵜飼哲夫の座談会。

テーマは「芥川賞、この選評が面白い」


芥川賞直木賞以前にも文学賞はあったが、選評を公表するのは、芥川賞直木賞の特徴で、それ以前にはなかった。
という鵜飼哲夫の説明からスタート。

自分が受賞したときの選評の印象を、蝶ネクタイ姿の奥泉光、タータンチェックのジャケットの角田光代が語った。

角田:当時は、選評を読んで、ちゃと読んでもらってるなぁ、励まされるなあ、と思ってたんです。でも、大人になって読み返してみたら、わたしの小説にほとんどふれられてなくて、こんなに相手にされてなかったのかと気づいて愕然としました。
奥泉:4回候補になって4回目で受賞したんですが、あとから風の噂で聞いた話によると、吉行淳之介さんが、この人の作品は二度と読みたくないのでこの人に取らせようって言ってたらしくて。
でも、吉行さんも4回目の候補でとっていて、ほっとした。

おもしろい回の選評をピックアップしながら、その様子を語り、奥泉・角田がそれについてコメントする。

第一回、太宰治「逆行」について川端康成の選評。
「私見によれば、作者目下の生活に厭な雲ありて、才能の素直に発せざる憾みあった」なんて書いている。
才能があると言われながら、作者の生活でダメだ、ということで落とされてしまう。
「落とされてもプラスになることはあるか」という質問に。

奥泉:落ちてプラスになるなんてないですね。それで、ここがよくなかったかなと反省する?
角田:え、しますよ。
奥泉:するんだ!? 審査員が悪かったと思わないとやってけないところもあるよね。

また、芥川賞委員が直木賞も兼任していたこともある(第10回から12回)。
それだけでも、驚きだが、その理由がもっとすごい。
直木賞の選考員がちゃんとやってくれないから、なのだ。
小島政二の選評から。
「直木賞の委員諸君、どうかもう少し出席して下さい。……出席して、芥川賞のように甲論乙駁、議論をしようではないか」

ほかにも、受賞辞退や、今みると傑作ぞろいなのに該当作なしの回の選評や、坂口安吾の予言、直木賞候補なのに芥川賞へもっていかれたエピソード、選評から読みとく純文学とエンタテインメントの違い、司会者の粘りがちの回、司会者は影響力があるのか、などさまざまな話題で盛り上がった、その濃密な内容は、近日中に近藤正高がエキサイトレビューでリポートするよ
(速報担当・米光一成)


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