梅雨時期から夏にかけては「食中毒」が心配な季節。自分のため、家族や子どものため、皆さんは何かしら対策をしていますか? 台所の除菌、食品の管理、手洗いやうがい等はもちろん大切だけど、どんなに注意を払っても、食中毒は“外”からの予防だけでは防ぎきれないのも事実。


■食中毒、軽んじることなかれ!
未経験者にはなかなかピンとこない食中毒の怖さですが、食中毒にかかると、激しい腹痛、熱、下痢、おう吐などの症状が起こります。軽い食中毒であっても、学校や職場に行けなくなるなど日常生活にも支障が出やすいですし、ひどくすれば死亡するケースもあるほど。昨年1年間では2万7千人が食中毒にかかったとされていますが(厚生労働省データより)、病院にかかっていないケースを含めると、実数はもっと多いそうです。

ちなみに東京医科大学の松本教授によれば、食中毒の治療には抗生物質が使われますが、むやみに使うと菌が耐性化して効かなくなったり、腸管出血性大腸菌O157による感染では毒素を遊離させて逆に悪化させることもある、とのこと。「感染したら、その菌を薬で殺せばいい」と安易には考えないで……ということですね。

■母乳にも含まれる成分に、直接的予防効果あり!
となればやはり、食中毒にかからないためにできるのは、日々の「予防」のみ! そこで今回は、身体の“内側”からの食中毒予防対策を積極的に行っている、久我山幼稚園に取材してきました。
久我山幼稚園は、食中毒対策として「体内からの予防」にいち早く乗り出した幼稚園です。免疫力がまだ発達しておらず重症化しやすい子供たちのために、手洗いうがい以外に何かできる予防法はないか……と調べていたところ、「ラクトフェリン」という成分に出会ったそうです。

ラクトフェリンは、もともとほ乳類の乳に含まれているタンパク質成分。私たちヒトの母乳、特に初乳に最も多く含まれており、赤ちゃんの健康維持に必要な成分と言われています。最近の研究では、このラクトフェリンを服用すると、サルモネラ、カンピロバクター、O157といった食中毒菌の感染が抑えられることが判明。「体内にウイルスや細菌が付着・増殖するのを防ぐ直接的効果」があることがわかりました。

さらに免疫力を高める抗体の増加や、抗菌活性などの研究報告も出ており、「免疫力アップ」も大いに期待できるそう。ラクトフェリンは、食中毒予防に大変有効な成分というわけです。

■子どもからも大人からも大好評!
ラクトフェリンの効能を知り、久我山幼稚園では、昨年11月より週3回、昼食後に1個、ラクトフェリン入りヨーグルトを園児たちに提供するように。以降、風邪をひいた際に胃腸炎などを併発するケースが少なくなってきたそうです。親御さんからは「便通がよくなったみたい」などの報告もあり、今後も積極的に摂取を促す方針だとか。

なめらかで甘い味わいのラクトフェリン入りヨーグルト。
園児たちからは、「おいしいよ!」「好きに決まってんじゃん!」と好評の声が続々と。嫌いで食べられないという子はいないそうです。量の関係から現在は年長さんだけが摂取していますが、年中組以下の園児たちも「僕たちも食べたい!」と羨ましがるほど人気だとか。園長先生によれば、「1つの食品を家庭で摂取し続けるのは意外と難しいもの。皆で一緒に食べることにも意義があると感じています」とのことでした。

ちなみに久我山幼稚園では、ラクトフェリンのほかにも、昼食では胃腸に効く「ハブ茶」を用意したり、毎月園内の和室にて、抗菌効果のあるカテキンやビタミンCの豊富な「抹茶」をたしなむ時間を設けたりもしているそうです。
身体の“内側”から、子どもたちの健康にさまざまに尽力していることが窺えました。

■「ヨーグルト」で簡単に摂取できる!
ラクトフェリンは、熱を加えると壊れてしまうタンパク質成分。熱処理をしていない牛乳やナチュラルチーズなどの食品にも含まれていますが、手軽に摂取したいならば、「ヨーグルト」が最適。ラクトフェリン入りのヨーグルトは現在スーパー等でも市販されているので、ぜひ一度売り場で探してみては。ヨーグルトにはさまざまな効能をうたった製品がありますが、これからの季節に健康を意識するならば、「ラクトフェリン入り」をチョイスするのが賢明かも! 内側から対策をしながら、暑さにも食中毒にも負けず、今夏も元気に過ごしたいですね。
(外山ゆひら)

※写真注:園児たちが食事中も帽子をかぶっているのは、突然の災害に備えるため。
二重布で怪我や衝撃を軽減させる目的がある。