「身体は細く、顔も大きくないのに、なぜか二重あごになりがち」という人がときどきいる。
また、太っていた人が、痩せた後も、二重あごだけなおらないということもある。

これって、何故なのか。骨格の問題なのだろうか。
二重あごの原因や解消法について、ダイエット外来のパイオニア的存在「渋谷DSクリニック渋谷院」の林博之院長に聞いた。

「二重あごは、いくつかの原因が考えられます。まずいちばんわかりやすい原因は、肥満。これは言うまでもなく、肥満によって体の皮下脂肪が増えることで、あごにも脂肪がつき、二重あごになってしまいます」
肥満による二重あごは、いびきや睡眠時無呼吸症候群などの深刻な病気を引き起こす場合もあるため、注意が必要だそう。

改善策としては当然、「肥満を解消すること」が第一となる。

では、「体重に関係なく二重あごになる人」の原因には、どんなことがあるのか。
「ひとつは、筋力の低下です。あごの先の『頤筋(オトガイキン)』とあごの下の首の全面を覆う筋肉である『広頸筋(コウケイキン)』、『舌骨筋肉』などのあご周りの筋肉が衰えることで、二重あごになってしまいます」
この場合の改善策は、あご周りの筋肉を鍛えるようなストレッチやマッサージを行うことだそう。

「もう一つの原因は、姿勢が悪いことですね。背骨や骨盤の歪みから姿勢が悪くなると、首が前に出て、あごが上がってきます。
すると、あごの周辺にある筋肉の働きが妨げられてしまい、二重あごへとつながります」
全く太っていないのに、中年になるにつれて、あごのあたりがたるんでくるのは、まさにこの「姿勢」による影響がありそう。
「姿勢が原因となっている二重あごの場合、改善策は、普段から正しい姿勢を意識することや、整体などで背骨や骨盤の歪みを治すことですね」

さらに、意外なのが、「日本語の発音」によるものだそう。
「二重あごの原因のひとつとして、『あご周りの筋力の低下』をあげましたが、そのうちのひとつである舌骨筋は、英語の『R』の発音の際によく使われます。でも、日本語の発音ではこの舌骨筋は実はあまり使われない筋肉なので、日本人は日頃からあごを鍛えることができません。そのため、日頃から意識して舌骨筋を含む、あご周りの筋肉を鍛えるように心がければ良いでしょう」
舌骨筋の鍛え方としては、「舌の先端を、上の歯の裏側と歯茎の間のところに押し当てる」とか「口を閉じ、舌全体を上あごにすっぽりおさまるようにして、鼻呼吸する」といった方法があるようだ。

姿勢やクセなど、日頃の積み重ねでできてしまう「二重あご」。
解消するには、普段から正しい姿勢をし、さまざまな筋肉を使うことを意識することが不可欠なのかもしれません。
(田幸和歌子)