朝ドラ「あさが来た」NHK 月〜土 朝8時〜)11月9日(月)放送。第7週「だんな様の秘密」第37話より。
原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:西谷真一
個性派俳優勢揃い「下町ロケット」とどっちが凄いか「あさが来た」37話
NHKドラマガイド「連続テレビ小説 あさが来た」Part1 NHK出版

37話は、こんな話


九州の蔵野炭坑へやって来たあさ(波瑠)は、働く様子のない労働者たちにもの申す。あからさまに女性を軽視する彼らに、加野屋を背負っているという責任感で、あさは毅然と立ち向かう。

濃い俳優が集まった炭坑編


6週めの平均視聴率は23.1%で、2週目から順調にあがっている。36話中、最高視聴率24.1%をとった33話は、新次郎(玉木宏)が三味線の師匠とどうかなってしまうか!? とハラハラする回だった。

あさと新次郎の夫婦の絆も深まって、いよいよ九州編。演出はメイン演出家の西谷真一に戻って、一層引き締まる。

炭坑の支配人役の梶原善(三谷幸喜作品の常連)、炭坑の親分役の山崎銀之丞(福岡出身、つかこうへい作品の常連)、その妻役の富田靖子(憑依系・名女優)と、俳優陣の強烈な個性派が集まって、「下町ロケット」(TBS)と濃い俳優勝負ができそうな気配がぷんぷん。

胡散臭い人たちと向き合ったときのあさが、一向に動じず、ひたすらに真っすぐ明るく、白黒はっきりさせないと気が済まない性分を貫くところは立派だ。
ふつう、こんなにツワモノたちと向き合ったら、そちらに影響されてしまいそうなものなのに、まるでブレない芝居をやりきる波瑠に、大物の予感すらする。

キャスティングの巧さと言えば、6週から加野屋の雁助(山内圭哉)、亀助(三宅弘城)の番頭コンビに、手代の弥七役で、大阪出身の若手俳優・竹下健人が加わっていること。前から登場済みで、いつの間にやらトリオ漫才のようになっているなあと思っていたら、亀助があさについて九州に行ってしまったあとの、おもしろく事情を語る係として準備されていたらしい。ふいに7週から出て来させず、徐々に、3人で馴染ませているところが用意周到だ。

テーブルをはさんだ新次郎と五代の関係


九州編に関してはこれからなので、ここでは大阪の様子を振り返りたい。
寄合所で、五代友厚(ディーン・フジオカ)と正吉(近藤正臣)が語り合っているところに新次郎がやってくる。
少し商いに興味をもったのか? と思いきや、すぐにその場を離れてしまう。相変わらず飄々とする新次郎を苦々しく思う五代(本音のつぶやきは英語で)。

このシーンの面白さは、長いテーブルの使い方だ。新次郎はやって来ても、五代から最も遠い端に座り、すぐに奥の部屋に移動してしまう。この長い距離が、新次郎と五代の考え方の違いを表しているように見える。まるで演劇を見ているような演出だ。五代が新次郎を見るとき、遠いものを見ている眼になるのも効果的。
新次郎VS 五代のこれからが気になる場面だった。
(木俣冬)

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