
一方、佃製作所の社内もなかなか足並みが揃わない。営業部・江原(和田聴宏)に経理部・迫田(今野浩喜)、技術開発部の真野(山崎育三郎)は部品供給には反対。特許使用契約を結べば、働かずして確実に金が入ってくる。わざわざリスクを冒してまで部品供給にこだわる必要はないというわけだ。かつて「いまのあなたには夢も希望もない」と妻に離婚届を突きつけられた男が、今度は社員に「あなたの夢にはついていけない」(大意)と突き放される。なんとも皮肉な状況なのだ。
佃航平は空気を読まないのか、読めないのか
「決定事項なんですか?」「社内の反対を押し切ってやってもうまくいかないんじゃないですか」と、口々に不満を述べる若手社員たち。ところが、佃は彼らを帝国重工のテスト対策チームに任命する。帝国重工・財前部長(吉川晃司)が部品供給を断るため、佃製作所を訪れたときもそうだったが、航平はたびたび“空気を読まないリアクション”で意表をつく。

対策チームに参加した江原ら若手社員は、帝国重工の調査チームに小馬鹿にされまくった結果、闘志に火がつく。「部品供給がいいとか悪いとか、そういう問題じゃない。これは俺たちの問題だ!」「町工場の意地を見せてやろうぜ」と張り切り、帝国重工のムチャぶりに応える。航平はこうなることをある程度、予測していたのか。