「新・牡丹と薔薇」(東海テレビ、フジテレビ 毎週 月〜金 ひる1時25分〜)12月10日(木)放送。第8話「呑みなさい!! この金魚」より
脚本:中島丈博 演出:西本淳一
恐怖ウマヅラハゲ「新・牡丹と薔薇」9話
『牡丹と薔薇』中島丈博/徳間文庫

馬面ハゲ


金魚を呑む! 見せ物小屋の人間ポンプ芸か!
サブタイトルが過激で、いよいよエグい展開かと思ったら、
まず出て来たのは、「馬面ハゲ」。
「ウマヅラハギ」を「馬面ハゲ」と聞き間違えるぼたん(黛英里佳)。

その魚は、「餌を仕込まなくても引っかけ釣りでいくらでも釣れるんだ」という
瀬尾綱輝(片岡信和)の台詞がなんだか気になる。餌を仕込まなくてもいくらでも釣れるって、多摩留(戸塚純貴)にあっという間に夢中になってしまった美輪子(逢沢りな)みたい。
「おしゃれでしょう」と言って美輪子がぼたんに見せた、多摩留の写メのポーズ、いったい何をどう言うとオシャレなのか・・・。まだダジャレを言ってるほうが許せる。オシャレとダジャレが韻を踏んでいるが関係ないだろうし。
ああ、ぼたんじゃなくても、泣きたくなる。


で、金魚まだ?

萌子の燃え燃えチャレンジ


「とうとうこんな仕事しかなくなっちゃったのね・・・」とテレビを見ながら嘆息する眞澄(伊藤かずえ)。
お母さん・萌子(山口いずみ)がいい年して、「萌子の燃え燃えチャレンジ」と、「巨人の星」の主題歌に乗せてカラダを張ったバラエティーに出演しているのだ。
でも演劇もちゃんと続けているらしい。
新派のような、迫真の泣きの演技──「ぼたんがお嫁にいくのを嘆く」を、ぼたんと美輪子に披露して見せたところ、ぼたんが何かを感じて表情を曇らせる。
無理して演技で、綱輝との縁談をすすめようとしたことが、やっぱりためらわれるようだ。
身を落としても、本格派女優。その演技は、人の隠された心をあぶり出す、とでも言うような深い場面なのか。


で、金魚まだ?

美輪ちゃんは薔薇そのもの


薔薇のような美輪子に、なんでもすると誓う多摩留。
美輪子に薔薇園の噴水の金魚を呑めと言われ、呑んでしまう。
え、金魚、これですか・・・?
ドロドロの業にあふれた行為ではなく、ものすごく無邪気な行為。
美輪子をお姫様抱っこして、神社の石段を駆け上るとこなんて、宮崎アニメ的。
そして、高揚した気分で、キスするふたり。

ああ、この無垢な恋が、やがてとんでもなく汚されていくんですね、きっと。


ぼたんのほうは、瀬尾綱輝のお父さんが馬面ハゲで、下世話な田舎者で、堪え難い気分になっている。「あさが来た」のあさとはつの結婚相手が、イケメンと白蛇はんの大きな違いみたいな感じですが、朝ドラみたいに凛と自分の運命を受け容れるなんてことは昼ドラの生き方マニュアルにはなくて、美輪子の幸せな恋なんて絶対に許せない気分になりますわな、やっぱり。
(木俣冬)