
97話はこんな話
姑・菊(萬田久子)と長男・藍之助(森下大地)と一緒に、先代の33周忌にお墓参りをしにやってきたはつ(宮崎あおい/崎の大は立)。あさ(波瑠)と10年ぶりの再会を喜ぶ。
巧者たちの競演
「こら あかん言うたら あかんで!」
はつが息子を叱る時の声の出し方が菊にそっくりで、身震い。
あんなに、はんなりした感じの御嬢様だったはつが、すっかりしっかり者のおばちゃん(肝っ玉お母ちゃん)になっていた。
宮崎あおい、ニュアンス出すのが巧い。
そんなおばちゃん化したはつも、千代(鈴木梨央)にとっては、母あさよりも、優しそうで素敵な女性のよう。
鈴木梨央も、子供はつの時と全く表情を変え、巧さを見せる。
宮崎と鈴木、演技巧者同士の共演が、さりげなく見物の97回だった。
波瑠も、大きなお店で商売を切り盛りしている貫禄を出している。ちょっと、キレイ過ぎて、千代が不服に思うところに説得力が足りないのだが。
もうひとり巧者がいた。
へぇさん役の辻本茂雄だ。
吉本新喜劇の座長である彼は、「へぇ」だけで、いろんな状況や感情を表現してみせる。
ついでに、辻本は和歌山観光大使(大阪出身だが和歌山の高校に通っていたそう)。和歌山のはつの再登場と、観光大使の参入には何か関係があるのだろうか。
そして、雁助(山内圭哉)。へぇさんが席を立ったあとに、すすす、と歩み寄ってストンと座るところが、音楽も相まって軽妙。
へぇさんは「極めつけの始末屋」(この表現、いいなあ)だと、雁助は分析。
すべてに細かく、無駄遣いしない。しゃべる時はしゃべるが、ふだんは倹約して「へぇ」しか言わないのだと雁助。なるほどー。へぇさんもなかなかいいキャラクターだ。
雁助の代わりにあさを締める人が現れて、雁助も安心して退場できるというもの。サブタイトルも「最後のご奉公」だということだし。
(木俣冬)
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