世の中には様々な政治家がいるもの。かつては覆面をかぶって選挙を行い、覆面姿のまま議会に登庁した政治家もいた。
それがグレート・サスケである。

人気レスラーだったグレート・サスケ


グレート・サスケという名前を聞いてピンと来ない人も多いかもしれない。彼は地域密着型プロレス団体「みちのくプロレス」を旗揚げし、東北では人気の高い覆面プロレスラーだ。

「みちのくプロレス」は選手の大量離脱などもありながらも経営を継続していた。しかしサスケは2003年、岩手県議会議員選挙に突如の出馬表明。その公約の一つが「当選したら覆面姿のまま議会へ行く」というものだ。
イロモノ扱いで当選すると思われてなかったが見事にトップ当選を果たし、公約通りに覆面姿のまま議会へ向かうことになったのだ。


サスケの覆面姿 岩手県議会が紛糾


岩手県の増田知事(当時)はサスケの覆面姿の登庁に「覆面を外すべき」と全国メディアで発言し、物議を醸す。県議会の会派は賛否両論であり、「覆面を外すべき」という声の一方で、「覆面姿で登庁するといって当選したのだから、外すのは投票してくれた人への裏切り」という支持意見も出ていた。
サスケは妥協案として、今までと比べて顔が大幅に見えるマスクを特注。これに対して増田知事が了承してことなどもあり、最終的にサスケのマスク着用は認められることなった。

グレート・サスケ、政務調査費を私的利用?


晴れてマスク着用を認められ、議員活動をスタートさせたグレート・サスケ。しかし2005年、市民団体がサスケの政務調査費を調査したところ、私的流用があると指摘された。
調査によると、公務と関係ないプロレスでの移動の際、新幹線利用した料金を政務調査費として計上していたというもの。サスケは「新幹線の混み具合をチェックするため」と述べたが、混み具合はインターネット上でもチェック可能なことが実証されたため、市民団体が政務調査費返還を求めて提訴され、最終的にサスケが敗訴している。


岩手県知事選に出馬したグレート・サスケ


このような疑惑もあったサスケは2007年に岩手県知事選に出馬するため、県議会議員を辞職するもあえなく落選。その後行われた岩手県議会選にもあっけなく落選し、サスケの政治家活動は終わりを迎えてしまった。

県議会選、県知事選の出馬とも前触れなしだったため、批判も数多く浴びたが、トンパチな行動を支持する者も多いグレート・サスケ。地域密着型のプロレス団体という当時では先駆け的な行動をしたことで「東北の英雄」といわれ、地域密着型プロレス団体の礎を築いたのは間違いなくサスケの功績だ。
確かに賛否こそあるが、その行動力は評価してもいいだろう。
(篁五郎)

※イメージ画像はamazonよりみちのくプロレス