彼の映像を初めて目にしたのは、報道番組でのこと。見知らぬよれよれの老人が大勢の取材陣に囲まれ、もみくちゃにされている異様な光景だった。

眉間にシワを寄せた表情から、どう見ても機嫌が悪いことは明らか。その老人の名前は横山昭二。1995年当時、オウム真理教の教祖・麻原彰晃の私選弁護人についたことがきっかけに、様々なメディアで取り上げられていた。

横山弁護士VS取材陣


横山氏は当時67歳。その当時はまだ定年が60歳だったこともあり、現役と呼ぶにはあまりに高齢だ。高齢のためか、歯や髪の毛が少なく、そして小柄。どこか頼りなさも否めない風貌である。

しかし彼は違った。報道当初こそ穏やかな姿勢で対応していたが、連日の取材攻勢により態度が一変する。取材陣はもっぱら麻原被告の近況や裁判についてしつこく聞いていたが、それも当然だろう。というもの、横山氏は麻原被告(当時)と唯一、接見できる存在だったからだ。
横山氏も、一度はそうした質問に応じていた。だが、次から次へと別の取材陣から同じ質問を繰り返され、挙げ句の果てには否応無しに回答を要求された結果、横山氏の怒りは爆発。


取り囲む取材陣に対し、横山氏は「や・め・て」「も~やめてっ」を連発。さらには、「どこへ行こうといいじゃないか」「この大馬鹿者っ」「いい加減にせぇよ」などの発言を浴びせ、瞬く間に日本一有名な弁護士として世の注目を集めたのだ。
この横山氏の強烈なキャラに芸人たちも注目。めちゃイケの前身番組である『めちゃ×2モテたいッ!』では、ナイナイの岡村がパロディをしていた。その後めちゃイケで披露した、「オカダユウヤ」や「オカツネ」といったキャラの雛型となっている。

横山弁護士のその後


独特すぎるキャラで注目を集めていた横山氏だが、その後、弁護士費用着服、麻原被告の供述調書の横流しの2つの疑惑が浮上する。

結果的に約1年後、横山氏は大阪弁護士会から除名され、弁護士を廃業することになってしまったのだ。

さて、肝心である私選弁護人としては、そうした疑惑問題も手伝ってか、残念ながら就任から約半年間で2度の解任にいたっている。
世紀の凶悪犯罪と呼ばれるオウム事件、その首謀者が弁護の解任を要請するほどなのだから、横山氏は相当の大物だったことは間違いない。
(ぶざりあんがんこ)

※イメージ画像はamazonより大馬鹿者―私の話を聞きなさい